マーケティング学会2017 基調講演②レジュメ(10月22日)

 「マーケティング学会2017」で2番目の基調講演者を務める。40分間の講演レジュメを事前にアップする。パワポは別の様式になっている。およその流れが理解いただけると思う。慣れないテーマをいただき、正直に言えば四苦八苦することになった。

 

「マーケティング学会2017」 基調講演②(レジュメ)
 講師:小川孔輔(法政大学経営大学院 教授)
 演題:「ナショナルメーカーの地域対応戦略:
     ローカル志向の商品開発と供給体制が組めるか?」
1 マーケティングの発達史から考える
(1)マーケティングの三段階+1
(2)マーケティング歴史家のテドローの整理
 ① 「分断の時代」
 ② 「統合の時代」
 ③ 「細分化の時代」
(3) 第4段階 = 「グローバリゼーションの時代」(??)
2 日本の企業(メーカー)は、海外で何をしているのか?
(1)大塚製薬 ポカリスエット
 @インドネシア ラマダン明けのドリンク 
(2)キッコーマン テリヤキ・コンセプト
 @米国 シーズニング
(3)資生堂 オプレ(現地化粧品)
 @中国 中国人の肌(北京と上海で訴求を変える)
(4)吉野家 牛丼(T字型カウンタ → テーブル席
 @米国、アジア諸国 ミックスプレート
3 CAGE理論(ゲマワット教授)
(1)『コークの味は国ごとにちがうべきか?』
(2)「セミローカリゼーション」という概念
  ~ 「地球市民」「消費の同質化」(レビット教授)に対する反論
(3)企業経営がグローバライズしてもローカル対応が残る理由
 ① ローカルな消費文化の違い(Culture)
 ② 垂直的なチャネル管理の必要性(Administration)
 ③ ロジスティック上の地理的な隔たり(Geographical)
 ④ 製造ロットサイズと販売効率(Efficiency)
(4)小川・林のマーケティング移転のマトリックス
  ・AI移転とSA移転
  ・機能性商品と情緒的商品のちがい
4 わたしからの問題提起
(1) 第5段階目に来るものは何か?
 ・前提条件 = 小売業のローカル対応は当たり前
   図表: ローソンとセブン-イレブン
 ・メーカーは、この流れにどのように対応するのか?
(2)小売業の後方統合志向
 ・SPA(=専門特化業態)化の強み
 ① 品質感の優位性
 ② 企画提案力
 ③ 価格訴求力
 ④ 買いやすい売場の設計
 ⑤ サービス・プロモーションの効率
(3)ネット小売業のモノづくりへの挑戦
 ・アマゾンの動きを見よ!
 ・様々な分野でPB商品を開発
 ・メーカーは下請けに成り下がるのか?
(4)メーカーマーケティングの未来
 ① 前方垂直統合の可否
  ・そもそも、「ご当地」対応を超えることはできるのか?
   例示: キリン、カルビー、資生堂、エトセトラ
 ② 食ビジネス変革のフロンティア
  ・食材(素材)革命
  ・植物由来の食材とその加工技術
 ③ 消費者の生活スタイルが変わる
 ・オーガニック&ナチュラル、
 ・ビーガン、ベジタリアン
 ・ローカルのフード
 ④ 企業ESG投資行動の変化
 ・環境への投資(Environment)
 ・社会貢献とローカル視点の重視(Social)
 ・働き方、ガバナンスの尊重(Governance)