学部生10人が、八街農場(シェアガーデン)でタマネギの定植と芋掘り作業

 タマネギは来年5月が収穫になる。学生たちと、八街の農場でタマネギの定植作業をした。トンネルハウスで芽出しさせた苗のトレイを各自が抱え、約2時間半で作業を終えた。10人でひと畝、約4000本(球)。一人が400本植えたことになる。

 

 ご褒美は、温室に実っている収穫末期のミニトマト。赤いのやらオレンジのやら、ラグビー型の黄色のトマトやら、いろいろの品種が鈴なりの房になっている。「どのトマトでもいいから、自由に食べてよろしい!」と武内智社長から許可が出る。糖度が9%もあって実においしい。

 「ふつうに売られているトマトは、糖分が5%程度です。おいしいでしょう」と、シェアガーデンの斉藤健太郎農場長が学生たちに説明する。小川ゼミの女子5人がトマトにかぶりついている。ここのトマトには水分をあまり与えない。「いじめるから、甘みがのっかる」(武内さん)のらしいのだ。人間と同じだ。甘やかすよりは、きびしく躾けたほうが中身がよくなる。

 わたしたちが到着した10時半すぎには、一昨日(11月20日)、農水省の会議で一緒だった武内さん(大森在住)が、八街農場に到着していた。武内さんは、気合が違っている。

 それもそのはず、午後には、さんぶ野菜ネットワークの下山さんのグループ(本日は、息子さんたち4人)が、トマトの品種を見学にやってくることになっている。みなさんが、仲間だ。実は、農水省のプロジェクトで、自然な形でネットワークが広がっている。

 

 NOAFの参与である下山さんも、八街農場の出資者のひとり。シェアガーデンは、栽培面積こそ1.5haとそれほど大きくはないが、運営のアイデアは画期的である。現在は、慣行農法から有機農業へ転換中(3年無農薬、無化学肥料)なので、作物は試験栽培中だ。作物は公式的には販売されていない。

 しかし、この土地で栽培される有機農産物は、タネを蒔いた段階で行き先が決まっている。たとえば、農場の一番端にある「Agri Bellavita Bio」という区画(契約栽培でシェアされた場所)には、イタリア料理で使われるルッコラやブロッコリーなどの野菜が植えられている。その他、めずらしいイタリア外来の野菜は、すべてミッドタウンにあるレストラン(「株式会社ベラヴィータ」が運営する「ナプレ」)に納品される。

 ナプレは、日本ではじめてのオーガニック認証レストランだ。オーナーの中村雅彦さんも、シェアガーデンの出資者のひとり。いまは出荷していないが、福島屋の福島徹会長も出資者のひとり。今年12月に開店する秋葉原の店舗には、シェアガーデンから出荷が予定されている。

 

 甘いトマトを食べさせてもらった後、学生たちは芋掘りに挑戦した。掘りあげるのは、シルクスイートという品種のサツマイモだ。いま一番人気のサツマイモなのだが、それでも10KGで二千円。1KGだと200円だ。

 タネを蒔いて、掘りあげて、茎を切って、水で洗って、乾かしてきれいに箱に詰める。それでも、たいしてお金にはならない。農場で儲けるのが難しいことがよくわかる。学生たちが掘っているサツマイモは、昼からのBBQの材料になる。「慎重に丁寧に扱いなさいね」と思っていたら、案の定、ひとりの男子学生が武内社長に叱らている。

 「そんなにしたら、サツマイモが売りもんにならないじゃないか!」

 武内さんは、半ば冗談のべらんめー口調なのだが、スコップでお芋を掘りあげるとき、地下に眠っていたサツマイモに傷をつけてしまったからだ。学生たちは、遊びのつもりで来ている。だから、掘りあげた芋が自分たちで食べるものばかりと思っている。農場実習は、販売のための農業を前提にしている。事前の注意が足りなかった。わたしのほうが反省すべきだ。

 

 農場研修中の中曽根君に、BBQの材料からなにまで世話をしてくれた。本来ならば、学生が自分たちで料理すべきだが。10人分のやきそばと焼き肉料理を作っていただいた。感謝なのだが、BBQは自分でやらないと。楽しさは半減だろう。13時半から振る舞われたお肉は、武内社長特選の「小樽運河ブランドの焼き肉」(ジンギスカン)。

 BBQが終わるころになると、少し冷え込んできた。明日(本日)、八街は氷点下になるらしい。東京も雪の予報だ。ささっとBBQ台をかたずけて、短い農作業の半日が終わった。ご苦労さんでした。わたしは、イシダ班の4人を、ヤオコーの市川新田店まで送迎した。

 あとの5人は、斉藤君と中曽根君たちにJR八街駅まで送ってもらった。楽しい一日だった。風邪をひかないと良いが。この頃の学生は、やわに育っている。簡単に病気に罹ってしまう。