25年ぶりのタケノコ掘り@宍倉家の竹林、佐倉市

 雨後のタケノコは、人の都合などはおかまいなしだ。先週、津田沼から京都・神戸地方まで家族全員に声をかけたが、早朝のタケノコ掘りに参加できたのはわたしたち2人と佐野秀行ご夫妻の4人だけ。それでも、強風の中、50分で8本のタケノコを掘り起こした。



 生涯でたった一度だけ仲人をやったことがある。法政大学に就職して最初の語学クラス(外国語経営学)にいた佐野秀行夫妻の結婚式でだ。法政には25歳のときに着任した。仲人は佐野家が最初で最後である。自分が結婚したのが着任の二年後だったから、佐野君が結婚したのは30歳のときだったろうか。
 米国留学から帰って、三人のこどもたちが小学校に通っているとき、佐野家の裏庭に竹林があると聞いた。実際には、(旧姓宍倉)むつみさんのご実家の庭に竹林があったので、家族5人でお邪魔することになった。白井に引っ越してすぐ、1990年ごろだったろう。約25年前のことである。
 そのころのわたしは、まだマラソンを始める前で、いまのように体力がなかった。タケノコ掘りのための戦力にならなかった。なったとしても、えらく要領が悪くて一本を掘りあげるのに20~30分はかかった。主役は宍倉家のお父様で、わが子たちを指導してタケノコの根の切り方などを説明してくれていた。

 というわけで、当時のわたしは、太いタケノコを1本掘りあげたあとは、傍観者にまわっていた。それだけでも、スコップで20~30分も土を深く掘り続けたので、慣れない腰と肩をかなり痛めた。ところが、今朝は頼りになる宍倉パパがいない。ここはわたしが先導者になるしかない。
 25年前の記憶を呼び覚まして、スコップと鍬を抱えて竹林に入った。履いているのは長靴ではない。トレールラン用のシューズ。アシックスのブランドだ。タケノコ掘りに使うような代物ではない。それでも、ふかふかの竹林の中から、女性陣ふたり(小川、佐野)が探し出してきた新芽の周りに、スコップと鍬で深い穴を掘っていく。
 掘削作業は、タケノコの新芽が、少しだけ地面に現れているのを発見するところから始まる。ほとんどが土の中に隠れているので、新芽を探し出すのがたいへんなのだ。森の中でトリフ(キノコ)の匂いを嗅ぎ出す豚さんの役割は、お姉さん女子二人が担当。優秀な料理人だけあって、ふたりともなかなか鼻が利くのだ。つぎつぎに新しい新芽を探し出してくる。男どもは、その芽の周りをスコップで穴を深く掘っていく。
 あまり焦ってはいけない。いちばん下の根っこのところで、新芽は地下茎とつながっている。タケノコを掘りあげるには、穴掘りのいずれかのタイミングで、地下茎からタケノコ(新芽)を切り離さなければならない。切断のタイミングが早すぎると、タケノコが短くなっていまう。もったいない。ぎりぎりまで掘り進むと、それはそれで時間が無駄になる。
 
 本日は、40分強で8本を掘りあげた。ぼぼ5分に1本の割合である。戦利品は、太いのが3本、小さいのが5本。太いのを掘りあげるのに10分はかかっている。全体の時間が短くできたのは、太くて長いタケノコと小さくて細いタケノコを、地上部から数分掘り進んだところで早めに見極めることができたからだろう。
 地上部だけに出ている先だけでは、大きさはわからない。それがわからずにやっていると、時間が無駄になる。短いタケノコは、ちょっと掘り進んだら手でねじりとることができる。太いのはそうはいかない。掘りあげるには、対策が必要になる。どちらに地下茎が這っているのかがわからないと、穴の大きさが定まらないからだ。
 タケノコ堀りから離れて25年。よくぞ経験なしのまま、現場で学習できたのは奇跡に近い。25年間で、自分の体がずいぶん丈夫になったことを実感した。そうでないと、あんなに早く大きなタケノコを掘りあげることなどできないだろう。頭が進化したのではなく、体が丈夫になったのだった。

 ところで、本日は、佐倉でのタケノコ狩りの帰りに、八街の「シェアガーデン」に寄ってみた。わたしも出資している「農業生産法人」である。7人の出資者のうち、代表者(社長)は、元ワタミファームの武内智さん。本人が電話に出て、「そこから農場までは20分ほどです」という。「農場長の斉藤健太朗くんと中曽根君がいるはずですよ」(武内さん)
 近くのローソンで、腹をすかしているはずの若者たちのために、ロースかつ弁当を二個買った。激励のために、買い物袋に、リポビタンDを二本追加で入れた。佐野家からは、佐倉名物の蔵六餅をいただいき、八街の「シェアガーデン」の農場まで二家族で車を飛ばした。
 本当に飛ばされそうになった。というのは、強風の八街では、いつにもまして砂ぼこりが舞っていたからだ。二人を激励して、途中のコンビニで神戸と京都に宅配便で、生のタケノコを送った。

 神戸では、小川シェフが新鮮なタケノコを待っている。
 大きいのと小さいのとを取り揃えて4本。京都はひとりものだから、小さなタケノコを1本だけ。残りは我が家で、いま階下で大きなタケノコが茹で上がりそうになっている。いちばん大きいのは、先っぽを切り取って、おさしみにして食べるつもりでいる。
 ちょっと甘めのお醤油に浸して、ワサビにつけて、、、、