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新学期の始まりを9月(国際標準)にするのは、どうでもよいことなのではないのか。
 東京大学が「新学期の始まりを国際標準に合わせよう」と、国立大学と有力私大(早慶)に提案している。東大だけで試行してもよさそうなものだが、それでは就職活動の時期などで足並みがそろわない。経団連の後押しもあって、一緒に動いてくれそうな大学に声をかけている。

 なぜ東大が国際標準に合わせようとしているのか、正直に言えば理由がよくわからない。想像するに、留学時期などで主要国(欧米)との時期がずれることが問題のようだ。
 この問題に興味を持ったのは、今月末に旅行したポーランド人のツアーガイドさんから、ポーランドの卒業式が5月だと聞いたからだった。
 「わたしたちの国では、お花がよく売れる時期が4回あります。バレンタイン(2月)、母の日(5月)、卒業・入学シーズン(5月〜6月)、そして、お墓詣り(11月)」
 わたしは、この話を聞いて耳を疑った。というのは、欧米諸国では、9月入学がふつうだと思っていたからだった。(ちなみに、母の日=5月は、世界共通とは限らない。)

 そんなわけで、入学式=9月は、実はちがうのではないかと思い、「世界各国の入学時期」を調べてみた。検索結果によれば、たしかに欧米主要国は9月入学でほぼ一致していた。夏休みが明けるのが、9月だからだ。
 ところが、よくよくみると、世界標準というほどのことではない。南半球では、夏休みが終わるのが1月だから、1月入学である。ポーランドのように、その他の国でも、必ずしも9月入学とは限らない。

 あるネットの情報によれば、(*同様なデータがいくつかのサイトで紹介されている)

(1月)シンガポール
(1月下旬〜2月上旬)オーストラリア、ニュージーランド
(2月)ブラジル
(3月)アフガニスタン、韓国、アルゼンチン
(4月)日本、インドネシア、ペルー
(5月)タイ
(6月)フィリピン
(8月)ハワイ
(9月)アメリカ、イギリス、アイルランド、サウジアラビア、カナダ、 カザフスタン、中国、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、 オランダ、エジプト、香港、台湾、トルコ、メキシコ、キューバ、
(10月)ナイジェリア、カンボジア
 
 というわけで、約半分の国では、9月が入学シーズンではない。ポーランド(6月)は、このデータにはないから、北欧や東欧でも、ポーランドと似たような時期だと推察できる。というのは、雪解けが遅いのでは?というのがわたしの推論である。
 いずれにしても、入学時期に「国際標準」はないのである。各国まちまち、というのが正しい認識である。主要欧米国だけが立派な国家とは限らない。盲信である。

 わたしの経験では、留学や研究において、欧米の学年歴が9月始まりで不便を感じたことはなかった。周囲の留学生でも、日本語の勉強の時期が必要なので、半年ぐらいの時差はちょうどよいくらいである。
 米国のカリフォルニアで、日本からの留学生たちを見ていたが、新学期の前に語学力を鍛えるためにサマースクールに通っていた。何の不便もないように思っていた。
 学年歴がずれているのは、国際的にはごく普通のことだと知った今では、なおさら「東大の提案は最終的には受け入れられないだろう」と確信するようになった。なぜなら、元々は国の会計年度にあわせて、明治政府が新学期を4月に決めたのだから。よく調べてみれば、「桜咲く=入学式」は後付けだったことがわかる。

 それよりも、大学の予算編成と補助金を出す文部省の会計年度は、どのように調整するのだろうか?わたしはそちらのほうを心配してしまう。
 入学時期を9月に移すことなどよりも、日本の大学が国際標準を意識すべきは、別の取り組みにある。研究組織や研究費の配分のやり方、人事評価や教授昇進の厳密さなど。もっと深刻なモラルハザードが日本の大学をダメにしている。
 そちらのほうこそを、国際的な標準に揃えるべきはないのか? 入学時期など、それに比べれば、国間で調整が簡単にできるのだから、どうでもよいことのように思える。
 

 

  
| Kosuke Ogawa | 02:26 | - | - | pookmark |

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