英国北部のスコットランドが本日、独立の是非を問う住民投票を実施する。世論調査では賛成反対が接近しているとみられている。もし賛成が過半数を占めれば、スコットランドは英国から独立することになる。知らなかったが、約300年前は独立国だったらしい。
独立ともなれば、世界中が影響を受けることは必至である。そして、英国という王国の国際的な影響力が低下することは確実だ。なぜなら、人口と国土の30%を失ってしまうからだ。その余波は、過激派が独立したがってきた北アイルランドやウェールズに波及するだろう。
世界には、いまある国境線は理不尽なものだと思っている民が多数いる。そのくびきから逃れて、自由になりたい「民族国家」が多数存在している。中国こそが、民族独立運動にもっともセンシティブな国家かもしれない。スコットランドでの投票の成り行きを、じっと注視しているだろう。
しかし、日本でも、そんな場所がありそうだ。分離独立したい筆頭県をあげるとすれば、沖縄県と北海道が有力候補だろう。わが東北地方(宮城県と岩手県の県境の架空の村)にも、井上ひさしが妄想した「吉里吉里人(国)」というのがあった(笑)。たしか、人口4200人、標準語は、ずうずう弁だった。
万が一にでも、スコットランドが分離独立の権利を勝ち取ると、ソビエトのような元連邦共和国とか、米国のような合衆国とか、中華人民共和国(the United States of China)は、政治的に新しい火種を抱え込むことになるだろう。
「やればできるじゃない!」と皆が思いかねないのだ。基本的に、民衆は政治的に愚かだ。大衆迎合の波に、いとも簡単に飲み込まれてしまう。大衆が時代に流された結果が、ナチスの迫害運動や世界中を覆っている悲惨な内戦だ。
スコットランドの事情はよく分からないが、独立を宣言できたにしても、経済的にはあまり結果がよろしくはないだろう。だって、イギリスは国連理事国からは外され、EUからも脱退するだろう。
まずは、基本的な防衛力や経済力が弱まる。イギリスの国力と威信の低下は、その先が目に見えている。ふつうに考えたら、政治的にはほとんどありえない事態なのだが。流れで、それをやってしまうことになるかも。
独立を阻止できないと、英国議会の現内閣は総辞職だろう。タイのフミポン国王のように、エリザベス女王は、なぜメッセージを発しないのだろうか。皇室問題にはまったく不案内だが、もしかすると、英王室の威信低下にもつながりかねない。
そして、日本の皇室にも類が被害が及ぶことに。この話題については、政治シミューレーションで妄想が膨らんでしまう。