『日経ビジネス』は重過ぎる!

 『日経ビジネス』の購読を休止しようかと思っている。理由は、カバンに入れて持ち運ぶのに、雑誌が「重過ぎる!」と感じているからだ。今週号(6月30日号)はまだしも、この頃の誌面は、広告とも記事(記事広告)とも判別がつかない頁が半分を占めている。



 「トヨタ 迫る崖っぷち」という特集記事が掲載された「6月30日号」の誌面を分解してみた。
 全116頁のうち(目次など10頁ほどは除外)、純粋な広告が約20頁(判別がつかなのが数点ある)。「特集記事」と称した記事広告が6本で、合計34頁。たとえば、「ヒット商品の新法則」(6頁)などは記事扱いになっているが、これは明らかに商品の宣伝である。
 結局、純粋な記事は、「トヨタ特集」(24頁)と「時事深層」(10頁)くらい。あとは、経営者や識者のコメントや海外情報の紹介である。誌面の半分は、実質的に広告である。
 『日経ビジネス』には、ときどき良い内容の記事もある。だが、それにしても、ほとんどの読者が買いもしない、高級な時計の広告が、30~40頁近くを占拠していることがある。わたしは時計好きだが、これは勘弁である。

 出版業者としては、広告収入を獲得するという事情はわからないでもない。もちろん、編集コストの半分が、広告収入でカバーされていることは知っている。しかし、こうした誌面構成は、そろそろどうにかしてほしいと思う。
 個人的な事情を言えば、単純に、カバンで雑誌を持ち運ぶときに、「広告の重さ」のために、わが右腕が腱鞘炎になることは避けたいのである。そして、広告が多いと、必要な記事に到達するまでに時間がかかる。読書の効率が非常に悪くなるのだ。
 それとは対照的に、日経ビジネスのモデルになった「BusinessWeek」は、もともと薄い誌面作りである。それに加えて、広告はあまり多くない。記事広告がすくないので、全体的に記事そのものに信憑性がある。

 わたしのような読者は少数派ではないだろう。経済ジャーナリズム(週刊誌)としては、『週刊ダイヤモンド』や『東洋経済』などもあるが、われわれが選択できる代替案は基本的に少ない。わたしなどは、しごとなので、『日経ビジネス』を購読しているだけのことだ。
 このまま、誌面構成と編集方針(ビジネスモデル)で行くようだと、わたしのような長期の愛読者が離れてしまいかねない。『週刊文春』や『週刊新潮』などとは、ちがった意味で、経済系の週刊誌には危機が迫っている。
 少し前に、ホリエモンが「紙媒体は消える!」と予言している。もしかすると、一番最初に消滅するのが、経済系の週刊誌かもしれない。情報の質が問われている。