「ソーシャル視聴の研究」(吉田秀雄記念事業財団、途中経過) 岩崎チームが「3つの課題」を設定

 毎月一回、「マーケティングサイエンス学会」(法大部会)が、「ソーシャル視聴研究」を実施している。(電通)吉田記念財団の助成金の合同研究である。二年間の継続になるのだが、内容が充実してきている。また、メンバーが増えて、研究テーマが具体性を帯びてきた。



 先日の土曜日の研究会で、大きく研究課題が進展した。内容を紹介する。その中でもとくに、岩崎チームが3つのサブテーマを設定して研究を推進することが決まった。

 研究分野の広がりとしては、一つの方向性として、「1 コンテンツアナリシス」に向かっている。
 マス広告(テレビCM)がSNSを介して広がっていく様子を調べる「ベンチマーク事例」として、特定のCMを選出(10個くらい、CMデータバンクも利用可)して、CMを要素分解する。広がりそうな(伝搬力がありそうな)、カテゴリー、要素(ストーリーや音など、わかりやすい要素抽出)などを特定する。
 
 仮説1:そうしてCMには、「A:認知を広げるタイプ」と「D:伝播力を高めるタイプ」の両方がありそうだ。
 作業手順:それらを類型化して、コンテンツアナリシスを実施する。
   ・Awareness(認知):「認知の広がり」を測定するには、どのような代理指標があるか?検討する
   ・Diffusion(伝播力):「伝搬力」を持つCMについては、過去1年のCMに関する書き込みや、ウェブ調査を実施する。
 目的:これらのパラメータ推定は、「木戸チーム」のシミュレーションモデルに組み込むためのものである。

 全体での議論の結果を受けて、「2 岩崎チーム」は、つぎの3つのサブプロジェクトをスタートさせることになった。

 仮説2:CMで提供される「話題」の一部は、SNSで「伝播」されて、さらに再度「テレビ」で話題として提供される。
  このフィードバックメカニズムを「反芻力」(小川の命名)、あるいは、「話題の反芻」と呼ぶことにする。そのメカニズムをサブテーマとしてワークグループで研究する。そのための方法として、3つを想定する。
 ①定性調査:TV局ディレクター、プロデューサーへの取材(岩崎教授、中畑教授)
 ②定量調査:ウェブ調査、ベンチマークCM選出、追跡(野沢氏、佐藤氏)
 ③事例調査:Yahoo Japanトップページ観測(Yahoo Japanの関係者に打診する!)

 以上、研究は大きな進展を見せている。わたしは、久々に到来した「アカデミックなテーマの研究」に興奮している。
 かなりエキサイティングな研究になりそうな雰囲気だ。