IFEX2012@幕張、無事に終了(来場者に変化が?)

 今年のIFEX(国際フラワーEXPO)が無事に終わった。来年は、ほぼ同時期の10月上旬の開催になる。おかげさまで、わたしたち(JFMA)が提案した二つのイベントブースは好評だった。「フラワーバレンタイン」と「ワークスタイルファッション」の試着デモンストレーション。



 東京ビッグサイトの2スパンを利用して、2004年にはじまったこの国際展示会も、来年で10年目を迎える。手探りではじめた見本市だが、現状でどうにかアジアナンバーワンの位置を維持はできている。しかし、10年後を俯瞰すると、展示会としての課題は山積みである。
 現場での記憶が薄れないうちに、気が付いたことをいくつか列挙しておきたい。

<一般的な傾向>

1 来場者数と質の変貌
 IFEXとGARDEXだけをとると、来場者数(全体は3万5千人を想定)の伸びに陰りが見えてきているようだ。来場者のカテゴリーでは、いつも見かける会社の量販店バイヤーが不来か、来場したとしても滞留時間が短かったような気がする。
 数年前から、IFEXに来場する花屋さんの数が減ってきていると言われていた。しかし、今年は、とくに初日・二日目では、花やさんの来場者は多かったように感じた。詳細なデータは、いずれ明らかになるだろう。
 これは、卸市場がIFEXに関与できなくなったことと関連しているように思う。時節柄、中国・韓国・アジアから来場者は減っている。もちろん、原因は政治と円高である。そして、日本の経済的な影響力の低下が根底にはある。

2 出展者の顔ぶれの変化
 IFEXがはじまってから連続して大きなコマで出展してくださっている、10数社の顔ぶれは変わっていない。インパック、高松商事、岐阜県生産者、グリーンウイングスなどなど。
 一般的な懸念(投資効果)にもかかわらず、数年前よりも、かえって商売は順調のようにも見える。残っている企業は、確固たる信念を持ってビジネスを展開しているからだろう。
 全国から、県連・JAベースで、生産者ブースへの参加が増えている。出展者は数のうえで伸びている(正式スペースでは減少)。いままで見かけなかった顔ぶれの生産者が、小さなコマながらIFEXへ出展していることが、展示会の性質を変えている。
 海外出展者は、25か国から。ピークは30か国であった。切り花の海外ブースを除くと、ややドメスティックな展示会に逆戻りしつつある。

3 新しい情報交流の結節点
 最近のIFEXで良い点は、ベンダーと買い手の間での新しい交流(情報交換とビジネス)がはじまっていることである。懸念する点は、供給側(ベンダー)の規模が小さいので、バイヤーに対する実ビジネスでの対応ができるかどうかである。おそらくは、ビジネスに結びつけるには、別の仕掛けを必要とするだろう。
 IFEXから、卸市場が撤退してしまっている。そのこと=卸のプレゼンスの低下は、生産者にとってみると、「買い手とのつなぎ役」を失ったことを意味する。しかし、自分で買い手を探すチャンスを与えられたことでもある。
 卸市場の陰に隠れていた優秀な生産者が、「顔出し」(デビュー)する機会を得ている。これは、情報発信という点からは、すばらしいことである。

4 課題(コストメリット)
 IFEXは、展示者の「商談成立」を中心に考えられてきた展示会である。しかし、基本コンセプトの見直しを迫られているのかもしれない。欧州で、植物関連では「IPM」(エッセンの国際植物見本市)と「メソン・デ・オブジェ」(パリのデザイン展示会)のふたつの展示会が二強の位置を占めている。オランダ(ホルティフェア)は後退気味である。
 理由は、展示会のスケールメリットにある。来場者の対象が国際的(大商圏)であれば、出展者の側にも明らかなビジネス上のメリットがある。しかし、規模が小さいと、投資(コマ代金や準備経費)のコスト割れが起こる。

 それ以上のものを、われわれ主催者側が提供できないと、IFEXの長期的な存続がむずかしくなるだろう。代替的な展示会が、国内にも登場している(「スーパーマーケットトレードフェア」など)。かつて、米国でPMAが主催していた展示会が、スーパーマーケット組織主宰の展示会に置き換わっていったことを、わたしたちは教訓としなければならない。

 基本、展示会(IFEX、GARDEX)は、わたしたち(主催者=JFMA、リード・ジャパン)のものではない。出展者と来場者のものである。二者のために展示会が運営されないようであれば、存在意義が問われることになるだろう。