【オランダ便り】 オランダのバラ農家が、再度MPS取得に向かう

 一時期、オランダのバラ農家は、厳しいエネルギーに関する要求に対応できず、MPSから脱落していった。現在、ケニアやエチオピアの農家の90%がMPS-Aを取得している。しかも、EU内では、チェーン小売業者から、オランダの生産者は環境配慮への圧力を受けている。

 最近になって、オランダ国内に残ったバラ生産者は、生物農薬(天敵)の活用だけでなく、エネルギー問題にも対応するようになっている。その結果、MPSで「Bランク」になり、認証競争から脱落していった農家が、ふたたびMPAの取得に意欲をもやしている(かつては、バラ農家の4分の3以上がMPSに参加していた)。

 日本においては現在、約220農家がMPSに参加しているが、来年度からは、韓国や台湾でもMPSの取得がはじまることになっている。カーネーションの輸入品ではすでに、コロンビアが70%を占めるようになっている。
 コロンビア(北米向け)では、MPSラベルはメジャーではないが(欧州向けはMPSを取得)、北米・コロンビア独自の環境認証マーク(たとえば、「レインフォレスト」や「フロリベルディ」など)がついている。もちろん、ケニアとエチオピアからの輸入品には、ほとんどがMPSのラベルがついている。
 わが国でも、チェーン小売業では、野菜に関して産地表示をすることが当たり前になっている。IYやイオングループでは、いずれ切り花に関しても、「トレーサビリティ」を求めることになるだろう。そうなれば、生産履歴がはっきりしたMPSの花が有利になる。

 消費者も、景気が上向けば、そのうちに、生産履歴の開示を望むことになるだろう。国産品より、輸入品のほうがしっかり農薬やエネルギーが管理されていることがわかれば、せっかくの国産品のメリットが失われる。量販店によるCFP(カーボンフットプリント:SCM全体での相対的なエネルギー消費)の採用は、そのことを後押しするだろう。
 そうなると、日本の生産者も、オランダのバラ農家のように、安全な栽培環境やエネルギー問題に無関心ではいられなくなる。とくに東日本大震災以降は、節電問題が環境問題と深く連動している。低エネルギー生産は、いまの時代の趨勢である。いつまでも、重油に依存するわけにもいかないだろう。

 一か月前に発表されたものだが、山本清子さんからのお便りである。 

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「バラの生産者は、MPS習得に努力すべきである」(2011年9月28日)

 オランダのバラ栽培者の3軒の内の1軒は、MPSの認証を習得している。もし生産者が、小売店納入を続行したければ、この数を増やせねばならないだろう。これが、Waddinxveenで開催されたLTO-Groeiservice(生産者の団体)の集会での報告である。
 90%以上のケニア、エチオピアのバラ生産者は、MPS経由で認証を習得している。
 彼らの主な顧客である小売商は、この認証を要請する。オランダの生産者は、特に中卸に納入している。商社Dijk FloraのMartin van Rijn氏が、先週の火曜日にバラの生産農家Marjolandで、特に、小売商が、益々、認証を要請することを語った。「彼らは、生産工程と生産品の問題点についての透明さを要求する」。
 MPSのマネージャーであるRonald van den Breevaart氏は、来る5年内に、品質保証への要請が増えるであろうと述べている。
 「バラでオランダのMPS参加者の半分は、MPS-Aを習得している。これらは、特に大規模の農場である。目標は,MPS参加者の70%が、MPS-Aを習得することである。バラの生産者は、比較的に高いエネルギー消費により、MPS-Aを獲得できないと考え、脱落する」。
 Angelien van den Nouwelandさんによると、彼女の農場であるMarjolandでは、MPS-Aを習得しており、事務を正常化するのに時間が掛かるが、その後、慣れるとコンピュータに記入には30分しか時間が掛からぬし、経費もたいしたことわない。だから、この考えの間違いを突き止めねばならない」とVan den Nouwelandさんは考える。

出典元: Vakblad voor de Bloemisterij