「はじめに」 『お客に言えない!「利益」の法則』青春出版社(2011年10月)

 来月(10月24日)発売の拙著『お客に言えない!「利益」の法則』(青春出版社)の「はじめに」の部分を書いてみました。暫定原稿ですが、ブログにアップしてしまいます。これから、舞台裏が透けて見えると思います。ちと露悪趣味かな? 初版で1万8千部を刷る予定です。

 「はじめに」
 小川孔輔著『お客に言えない!「利益」の法則』青春出版社(2011年10月)

 <じっくり読まなくとも、見ただけでわかる図解方式>
 本書は、2008年?月から現在まで、『BIGtomorrow』に連載されている「気になる値段のカラクリ」を単行本化したものです。書籍化にあたっては、「気になる」を「お客に言えない!」に、「値段」を「利益」に、「カラクリ」を「法則に置き換えてみました。連載時の「値段の決まり方」にこだわらずに、もっと広めに「ビジネスの仕組み」を解説した内容になっています。商売繁盛の仕組みが、身近な事例を通してわかるように解説しました。
 「見開きの図解方式」が、本書の際立った特徴です。連載時に比べてさらに、文章をじっくり読まなくとも、とりあえず見ただけで「収益モデル」が理解できるように工夫しました。しかも、経営学やマーケティングの基礎知識は、まったく必要ありません。むしろ、世の中の商売繁盛の仕掛けが、素人にも簡単にわかるようになっています。
 事例に取り上げた企業やブランドについては、基本的に、わたしが調査やコンサルティングの形で関与しているケースがほとんどです。したがって、売り上げやコスト、客数や客単価についてのデータは、推測に基づくものではありません。現在のリアルな情報を表示しています。
 「儲けのカラクリ」や「値段のひみつ」と題している類書と決定的に異なるのは、筆者が実ビジネスや調査で得た経験を、客観的な裏付けで話しているからだと思います。
 読者の中には、取り上げたビジネスで明日から商売ができるかもしれないと錯覚できるほど、リアルにビジネスを説明したつもりです。

 <制作現場の舞台裏>
 月一回の連載時、プロジェクトと原稿作成のチーム編成は、以下の通りでした。青春出版社で編集担当の金谷さんが、毎回、「お題」(ある商品の値段が、なんでそんな風に決まっているの?)を筆者の小川に投げます。わたしが金谷さんの素朴な疑問に応えている場面を、ライターの村上さんが文章化していきます。
 したがって、連載では、わたしが金谷さんの素朴な疑問に答える形式になっています。ドラフトの段階で、村上さんの原稿に小川が手を入れて原稿は校了になります。この作業を、約3年にわたって繰り返していったのが、「月一連載:気になる値段のカラクリ」でした。連載は、当初6回の約束でしたが、4回目あたりから、読者アンケートで、「おもしろかった!」の回答比率がトップになり、コンテンツの人気が急上昇。知らない間に、シリーズの掲載回数が30回を超えていました。
 本音をいえば、ネタ切れになりそうになったこともありました。それでも、担当者の金谷さんから、「先生、読者アンケートで満足度のランキングが、落ちていかないので、まだ続けてくださいね!」とお願いされ、それならば、「単行本にできるくらいまで続けてみようか」ということになりました。

 <本書の構成>
 書籍化にあたっては、書籍担当の仁岸さんが制作チームに加わりました。彼女への最初のお願いは、「連載原稿を読んで、内容をいくつかのカテゴリーに分けてくださいね」でした。実務を知らない一般読者にも、読みやすい構成にすることが目的でした。
 即席ゼミ生になった仁岸さんが提出してきた案が、「1 驚きの激安商品の秘密」、「2 人気ショップの買わせる技術」、「3 笑顔の裏の油断ならない集客術」、「4 物、サービスの値段はどう決まる?」の4部構成でした。見事に、「+A」の評価を得ました。
 わたしが、仁岸さんに与えた仕分けのガイドラインは、「販売の立場」「顧客の立場」「集客の方法」「商売の仕組み」の4つでした。その通りになっているでしょうか?
 4部構成にしたことで、追加すべきトピックスが出てきました。それらのテーマをカバーするために、夏休み期間を利用して3日間、急きょ4人(小川、村上、金谷、仁岸)で「研究室合宿」を試みました。一回で4~6テーマを取り上げ、連載時と同じ方法で、約15のトピックスをオリジナルの原稿に追加していきました。通常のテーマ以外に、「マーケティング・クイズ」と「コラム」を別途に4ページ分、追加しています。
 なお、なるべく、具体的な数値と事実を示すために、データの出所を明記するように試みました。ただし、一部では、企業秘密などソースを公開できないこともあります。ぼやかして書いてある場合は、諸般の特殊事情によるものです。微妙な問題があることをご理解ください。
 本書は、わたしの60歳の誕生日(10月23日)、還暦の前日に出版されます。まじめに長く仕事をしてきたつもりです。共著も含めて35冊目の本書が、ミリオンセラーになることを祈っています。

2011年9月24日