アマゾンと楽天のネット書店で、ようやく拙著『しまむらとヤオコー』が在庫補充された。楽天は3日前から、アマゾンは昨日から「在庫あり」に表示が変わった。早速だが、アマゾンの販売ランキングが上昇を始めている。
ネット書店の在庫状況は、その他(6店舗)でも同じようなものだった。笑ってしまったのは、アマゾンで2750円だった中古本が、一夜にして消えてしまったことである。
3日前に2千円台だった本は、すべて売り切れてしまったらしい。買う方もあと一日待ってくれればよかったのに(笑い)。アマゾンの表示では、「2~5日以内に発送」に3日前に変わっていた。(最高値で、中古本「5993円」というのが出現している!)
今回の品切れへの対応を、しばしネット経由で丹念に見ていた。書店へも実際に足を運んでみた(ブログ記事を参照のこと)。書籍販売のビジネスに関して、いくつか気がついたことがあったので、それらを簡単に紹介してみたい。
(1)品切れは、圧倒的にネット書店のほうが早かった。なぜならば、、、
ふつうの書籍では、店頭で見てから購入する「衝動買い」が購買動機の主体である。ところが、ネットでの書き込みや新聞・雑誌での広告露出が多い場合は、必ずしもその限りではない。
出版社や大手書店の販売担当者たちは、拙著を「目的買い」で売れるとは思っていなかったらしい。店舗在庫の補充スピードは、かなり緩やに設定されていた。その結果、ネット書店では商品の補充が追い付かないのに、実店舗ではまだ在庫が残っているということになった。もったいなかった。
書籍は衝動的に購買する商品から、目的買いアイテムに変わっているのではないか。マス広告を打った場合でも、ネット書店のほうが動きが早いようだ。いまや実店舗の販売力を上回ることが多い。新刊本を購入するためには、ふだんは本屋に足を運ばなくなっている。
(2)ネット書店の補充業務システムで、効率に大きな差が見られる。
楽天(ブックス)の品切れに対する処置が、今回はもっとも素早かった。アマゾンに比べて、楽天は品切れになるのが数日遅かった(高めの予測値の設定)。それとは逆に、在庫の補充スピードは、数日早く行われていた(売れ行きの把握がしっかりしている)。
第2刷の配送は、ほぼ同時(3月3日~4日)だったはずである。しかし、「在庫あり」に変わる表示のタイミングは、楽天のほうがアマゾンやその他のネット書店より早めだった。これは、たまたま起こったことではない、ネット書店の業務システムに、かなりの効率差があることを推測させる。
参考までに、発売当初の2週間で、アマゾンの平均日販は4~5冊だった。アマゾンでは、品切れのために(約2週間で)、50~60冊程度の販売ロスが生じていることになる。
楽天の書店運営システムは、スピード感があり、よくできあがっている。これは、何も書籍販売だけのことではないように思う。
(3)リアル店舗の予測・販売・補充システムは再考を!
最近になって、ネットを商品販売のテストケースとする事例が増えている(日経MJを参照)。書籍の場合も、ネットでの売れ行きを実店舗のレイアウトや在庫補充システムに連動させるべきではないだろうか?
伝統的な大手書店(紀伊国屋や丸善など)では、ネットとリアル店舗を同時にもっている。しかし、両社の在庫管理と配送は連動していない。店頭に在庫があるのに、「おとり置き」はできるが、自社ネット書店への転送や、他のネット書店への再販売はなされていない。
わたしが大手書店の経営者ならば、滑り出し1週間のネットでの売れ行きを見て、当初の販売予測値を修正するだろう。その上で、実店舗の商品配置数量に変更を加える。
地域によって売れ行きが異なるのは、何もアパレルの世界だけではない。わたしの本などは、埼玉と新宿の書店からは、ほぼ即日に消えてしまった。他の地域から転送しておけば、2月中はもっと売れたはずである。
これから、拙著の書評が各誌に登場する予定である。出版社と大手書店には、予測・販売業務システムの効率化を強く訴えたい。書店経営では、科学的なデータ管理がきちんとなされているように見えない。
蛇足かもしれないが、アマゾンの在庫数は、補充後でも少なすぎに思える(3月6日現在、園田さん情報では17冊!)。すぐに在庫切れを起こしそうだ。たぶん数日以内にまた、欠品を起こすことになるだろう。
余計なことかもしれないが、将来的には、これでは楽天ブックに軍配があがってしまう。アマゾンの在庫管理担当者はご注意を!