昨日は、アースM&E(会社名は、クロスカンパニー)の本社へ。石川康晴さんは、えらく若い社長さんで驚いた。1970年生まれの青年だ。柳井さんがユニクロを広島証券取引所に上場させた時の年齢よりも、さらに若い。
「クロスカンパニー」は、INGNI(本社、神戸)の青井社長から紹介していただいた。伺っていた通りで、石川社長は岡山大学に在学中。週に3回、大学のキャンパスに通っている。
「頭が悪い社長じゃ、会社が困るでしょ」(笑)が、大学で勉強している理由である。正直、経済学部の先生が、石川社長に役に立つ経営理論を教えられるとは思えない。すいません、岡山大学の教授のみなさん。しかし、「わたしが一日かかって考えることを、一分でまとめてくれる」(石川社長)。大学の先生も捨てたものではない。法政の学生に聞かせてやりたい。
インタビューは、JR岡山駅から歩いて6分の本社3Fで。4時から1時間の予定が、30分超過してしまった。秘書の小川智子さんから、メモが差し入れられた。
次の面談があるらしい。わたしが、学生たちと一緒に来るものだと思っていたらしい。先生がひとりで岡山まで来たことが、意外だったみたいだ。
事前の予想と違っていた点がいくつかあった。まずは、宮崎あおいを起用したCMで、売上は10%程度は伸びるとの数値予想は外れていた。実際は、既存店ベースで約30%売り上げが伸びている。増収効果は、放映がはじまった3、4月よりも、5月の方が大きい。
CM放映が、販売員のモチベーションを高めたからである。純効果は予想通り10%だが、20~30%の積み上げは、販売員が努力した分である。いや、実際は、CMが売りやすい環境を作ったのだろう。売りは、あとからついてくるものだ。
二番目は、従業員についてである。店舗で働いているのは、全員が正社員である。アルバイトはひとりもいない。ただし、働き方にはバリエーションを持たせている。
既婚者の制度、育児制度で一日4時間の短時間勤務者など。しまむらの「M社員制度」(ショート、ロングなど)の「若い子版」である。雇用を確保して、かつある程度の給与水準を維持できるのは、3つの理由による。
1999年に、赤字に転落。これを転機に、セレクトショップ3店舗をすべて閉鎖。売り上げが4億円、13人の従業員のすべてが、ひとりを残してやめた。どこかで聞いた話しである。
ユニクロもしまむらも、初期の従業員は経営者についていけずに皆やめている。SPA業態になり、粗利益率が改善した。卸をやめてメーカーになると、企画は自社で、製造は協力工場2社に依頼。翌年からは、売り上げも利益も予想以上に跳ねあがる。一挙に7億円に。あとは、10年間、年商300億を突破するまでは一直線。
3番目は、店舗の小型化(30坪から20坪へ)で生産性がアップしたことである。同社HPに、小型化戦略はきちんと書かれている。在庫圧縮による商品回転率のアップ。アイテムの絞り込みは、ユニクロと同じ。売りやすく、商品管理もしやすいMDの効用は言うまでもない。アースの店頭はシンプルだ。
最後は、店舗賃料の圧縮によるコスト削減。コンパクトな店舗で、一ヶ月以内に回転する商品構成(27日サイクル)。「デザイン工程の短縮化や流行を捕らえる方法は、他社と同じで、特別なところはない」(石川社長)。デザイナーには、後輩指導のための特別なコーチング的な役職が設けられている。
接客と店長のマネジメントに改善の仕組みを導入。ある種のモチベーションづくりのマニュアルを、店員指導の仕組みとして抱えている。そこが強みになっている。この辺の社員の使い方は、青山フラワーマーケット(井上社長)を彷彿とさせる。
海外展開も見据えている。香港、台湾、韓国。米国ブランドの買収。しかし、正直、クロスの強い部分は、わたしにはまだよく理解できていない。第一ステップを終えたばかりの、まだ若い企業である。強みは、スピード経営、人材の育成方法かな?
商品的には、ポイントなどと、とくに変わるところはなさそう。商品耐久性テストもしてみたが。さらに精査する必要はありそうだ。そのためには、さらにフィードワークが必要そうだ。
INGNIの青井さんに、4年前に感じた感覚に近いな。そんな気がする。とりあえずの感想である。
午前中に東京に戻る。羽田から旭川空港に。一緒に美瑛を走る息子、真継とは、13時半に羽田空港で合流する。