昨日(11月13日)、IFEXを無事に閉幕することができた。3日間とも雨模様だったうえに、例年と日程を比べると、週末の土曜日をはさまない、水・木・金の平日開催だった。そのために、当初の予想以上に、来場者数は伸びていないように見えた。ただし、商談は別である。まちがいなく、例年より取引は活発な動きだった。
今年のIFEXの特徴は、以下の3点だった。
(1)海外出展者の割合が増えたこと
国内の生産者と市場が後退して、切り花は海外出展者の数が増えた。とくに、韓国、台湾、コロンビアの躍進が目立っていた。韓国の出展者については、昭和花き研究会の菅家さんと一緒にブースをふたつ取材したので、明後日(16日)に、岡山(山本デンドロビウム訪問)から帰ってから、その様子を詳細にレポートしたい。
国内の出展者が減ったことは、おそらく時代を反映している。国内産地の経済状態がきびしいこと、出展者メンバーから大手市場がほぼ姿を消したためである。国内生産者が単独で出展せざるを得なくなっている。市場が消えてしまったことで、来年度は、逆にしかし、国内産地で販売する商品があるグループは、直接、量販チェーンに売り込みをはじめるとわたしは予想する。
岐阜セントラルローズの大西社長(JFMA理事、優良出展者)と打ち上げの席で話したのは、花普及センターや農水省が音頭をとって、「日本ブース」を準備すべきではないか?ということだった。海外の展示会(ドイツ・IPMや中国・北京上海)に、日本として、実はかなり大きな予算を投じている。そうであれば、その予算配分を、国内のIFEXに投じるべきではないだろうか?足元が揺らいでいるのに、海外展示会に出展している場合ではないだろう。
(2)実質的な展示が増えている
来場者数は、多少の減少が見られるが、各ブースでは静かに商談が進行していた。一昨日のHPでも書いたが、今年度の実質NO1ブースは、インパック(守重社長)とミヨシ種苗(三好社長)であった。インパックは、量販対応で「資材・加工・商品化・店頭陳列」のワンストップショッピングの提案で成功していた。ミヨシは、顧客をプレミアムと上顧客に分けて、開放的なブースで気持ちの良い商談を展開していた。ロケーション(一丁目、一番地)は、やはり大切である。
それ以外には、注目すべきは、はじめてIFEXに出展をした「SAIEN」(埼玉園芸、大野社長)と「山本デンドロビウム」(山本博文社長)である。埼玉園芸は、大手中央市場が出展を取りやめる中で、商品提案(器と植物の組み合わせ)で見やすく上手な展示になっていた。市場も売り込むものがなければ、実質商売になりえない。販売するもの(品種や商材)の発掘が、IFEXを狙って企画できていない投じたお金が無駄になる。
なお、さっそく明日、山本デンドロビウムの岡山農場を視察訪問することになった。笠岡ハーフ(岡山県)を走った後、山本社長が岡山駅まで迎えに来ていただくことになっている。訪問後にレポートはするが、わたしが岡山の農場を訪問させていただくことにしたのは、山本社長のブースで立ち話をさせていただいたさいに、「長年続けていた東京ドームへの出展をやめて、IFEXに出展してきた」からである。山本社長は、その事情をつぎのようにHPに書いている(同社HPより:http://www.dendrobium.net/)。
「世界らん展日本大賞2010について」(2009.09.28)
東京ドーム蘭展 参加の取り止めのお知らせ
東京ドームの蘭展では過去長年にわたって山本デンドロビューム園をご贔屓いただき まして、深く感謝致しております。
誠に残念ですが、来年開催の「世界らん展日本大賞2010」への参加を展示、販売ともに取り止めることと致しました。毎年お顔を拝見していた皆様方とお会いできないのは非常に残念ですが、交配、育種 研究にとても重要な開花時期に約2週間にわたって岡山の研修温室を留守にすることのデメリット等を考慮、勘案し決定致しました。
今後はさらに育種研究に力を注ぎ、 より素晴らしい新品種の開発で皆様のご期待にお応えしたいと考えております。 皆様 に直接デンドロビュームをご購入いただく機会は無くなりましたが、山本デンドロビューム園鉢物ショップ(楽天市場)にて、あるいはお問い合せいただければ、私どもの品種改良しました最新デンドロビュー ムをご購入いただくことは可能であります。
何かございましたら、ご遠慮なくお問い合せいただきますようお願い申し上げます。
山本デンドロビューム園
http://www.dendrobium.net/HomePage.html
「国際フラワーEXPO「IFEX」に出展致します」(2009.08.07)
2009年秋に山本デンドロビューム園はIFEXに出展致します。
日時:11月11日(水)~11月13日(金)
会場:幕張メッセ
主催:日本フローラルマーケティング協会(JFMA)
リードエグジビジョンジャパン株式会社
IFEXは花に関するあらゆる商品が世界中から集まる日本最大級の国際商談展です。
仕入れ・商談のためにぜひご来場ください。
山本デンドロビューム園は、日本国内向け鉢物商品、海外輸出向け種苗を出展致します。
ご来場予定の方は事前にご連絡をお願いします。
会期中は混雑が予想されます。山本デンドロビューム園のブースにご来場、ご商談のご予定のお客様はあらかじめ山本デンドロビューム園までご連絡をください。
(3)不況の中でも、継続出展者がほぼ固定してきた
IFEXへの出展を、自社の年間計画サイクルに明確に位置づけている企業(だけ)が、継続的に出展ができている。これが6年目の結論である。
例えば、アイリスオーヤマのブースに寄らせていただいた。担当の部長さん(+佐藤部長)とお話をさせていただいた。初年度(2004)の出展後、同社はいったん出展を見送ったことがある。ガーデン関係では、DIY協会の展示会(DIYショウ)もある。地元仙台では、自社の展示会を単独でお持ちである。IFEXに戻ってきたのは、しかし、自然な決断であった。「他の展示会に比べて、商談ができるから(だ)」。アイリスは、11月(昨年は10月)のIFEXの展示会を起点に、「詳細な商談は、来週以降に行われる自社展示会につなげていくのですよ」。IFEXの場は、「来年度に向けての提案商品のお披露目の場所」と明確に位置づけていた。
ガーデン・エクステリア部門ものぞいてみたが、継続して出展している企業は、すべての例外なく、IFEXを自社の新商品とあたらしい提案をプレゼンテーションする場としていた。商談は、IFEXの3日間ではない。インパックの守重社長の言葉を借りれば、「IFEXの3日間は、お正月の元旦からの3が日」なのである。割り切りと実質をかねた会社だけが、IFEXに残っていく。
さて、アジア最大の展示会として、足りないものは。まだまだある。たくさんの課題を残しながら、来年2010も、IFEX、GAREDEXへ出展と来場をよろしく!最悪の不況の中で、出展者と来場者の皆さんが、それなりの成果を上げることができていることを祈って。