8年ぶりの鮮度保証販売@ヤオコー(埼玉県川越市)

JFMA創設の翌年に、切り花の鮮度保証販売に取り組んだ。2001年の秋のことである。場所は、JR八王子駅近く。無印良品の花店「花良品」(八王子店)での取り組みであった。当時の実施期間は、4週間(4回の出荷分)。品目は、キク、バラ、カスミ草、アルストロメリアなど4品目であった。クレームはほとんど出なかった。結果を見て、花良品の阿部社長(当時)が、無印の有楽町店でバラの鮮度保証販売をはじめた。


テスト販売から、それなりの経験知は得られた。しかし、当時は、バケット低温流通のシステムやトレーサビリティを確保するためのMPSが制度として存在していなかった。前回と今回の取り組みの違いは、8年間の時間を経て、鮮度保証をするための社会的なインフラが整備されたことであろう。また、わたしたち実施主体であるJFMAの社会的なポジションと影響力には、当時といまとでは雲泥の差がある。それなりに、企画力・組織力が高まってきている。
 今回の鮮度保証販売は、本日(7月11日)から、ヤオコーの4店舗で実施される。夏場なので、バラとカスミソウで「5日間の鮮度保証販売」からのスタートである。5日以内に花が枯れてしまったら、全品お取替えをする。これまでのように、「テスト販売」での実験ではなく、実ビジネスとしての鮮度保証である。ヤオコーの4店舗(南古谷、若葉ウォーク、坂戸、山田)の花売場では、入荷量の30%強にあたる商品を、本日から鮮度保証で販売をする。東京板橋市場を経由しての販売になる。
 販売する商品は、FAJ(フラワーオークションジャパン)の日持ち試験室で、テストに合格した品種に限定される。テストルームでは、温度25度、湿度60%~70%、明かりは12時間オン・オフを繰り返す。先月から始まった日持ちテストでは、合格する品種とそうでない品種のちがいがわかってきている。
 バクテリアの繁殖をチェックしているので、結果は一目瞭然である。生産者段階での前処理の良し悪し、市場までの輸送の仕方、品種の特性、輸送途中での温度と湿度が、日持ちに影響を与えている。
 生産者は、原則として、MPS-ABCの参加者である。生産段階からのトレーサビリティを確保できるからである。中間流通は、MPSトレードを取得した市場(ヤオコーの場合は、板橋市場)を通っている。予想した通りではあるが、思わぬ品種がテストに合格しないことがある。結果を見て、実施主体はそれなりにストレスを感じる。しかし、これは、悪いことではない。
 データは客観的である。その対応の仕方によって、生産者と流通業者の力量がわかってしまうからである。すべてが試される。やったことの結果が明確に出てしまう。いまはまだ、毎日の入荷量は少ないが、通常の販売なので、今後はクレーム率などのデータが蓄積されていく。
 次の段階では、小田急フローリスト、フロレアール(フラワーゲート)、カインズホームでも、日持ち保証販売の実施が予定されている。関西での取り組みも始まることが予定されている。
 本日は、ゼミの学生を使って、ヤオコーの二店舗(南古谷と若葉ウォーク)で、アンケート調査を実施する(60サンプルを予定)。売場の購買行動のチェックも実施する。
 8年前の花良品での実験時と比べて、消費者と花をとりまく環境がどのように変化したのか? 9軒の家庭には、「温度センサー」(2週間)を持ち帰ってもらう。当時と同じく、家庭での温度の変化と花持ちの関係を調べる。花の写真を毎日、撮影してもらう予定である。
 途中の結果は、随時、報告していくことになる。お楽しみに。これから、わたし自身は、ヤオコー南古谷まで出向くことになる。夜もまだ元気ならば、帰ってから現場での観察結果の報告をしてみたい。