明日発売の『週刊ポスト』(特集:日本のトップ経営者)、その特徴と一般的な傾向。

 阿光記者から、アンケートの確認ゲラが送られてきました。経営者ランキング(3カテゴリー)の上位者に、わたしのコメントが4か所で採用されています。順位とコメントは、明日発売の『週刊ポスト』(小学館)を見ていただくとして、ここでは、発売前の誌面ゲラから知りえた一般的な傾向を総括しておくことにします。

 

 経営者のランキングは、3つのカテゴリーから構成されています。阿光記者からの情報では、投票依頼数は、現役経営者や新聞記者、研究者など50名(返信率は不明)のようです。上位者に重みをつけて、評点を合計しているようです。例えば、1位には5点、2位には4点など(わたしの推測です)。

 以下は、各カテゴリーごとの全体評価とランキング、および、それに対するわたしの感想です。

 

 <現役経営者のランキング>

 ①(代表権の無い名誉会長などを含む)現役の経営者で、現在「最高」と思う3~5人の「名前(&企業名)」と、それぞれの「順位(1位から3位~5位)」、それぞれ(一言ずつだけでも構わないので)選んだ「理由」を教えてください。

 

 わたしが投票した5人とコメントは、以下の通りでした。

1 柳井 正(ファーストリテイリング)
 *事業家としての理念、孤高、決断力、抜きんでています。
2 新浪剛史(サントリー)
 *どの会社でも通用するプレゼンスの高さ、人間的な魅力。
3 岩田弘三(ロック・フィールド)、
 *理念経営の徹底、環境への配慮、社員が働きやすい会社を実現。
4 小林佳雄(物語コーポレーション) 
 *独自の経営理念、新しいチェーン店運営方式の創案。
5 土屋裕雅(カインズ、ベイシアグループ)
 *2度の業態転換を成し遂げたこと、トップとしての権限移譲が秀逸

 

 → 全体のランキングで、わたしの評価を反映していたのは、柳井さん(3位)、新浪さん(7位)、岩田さん(22位)の3人でした。柳井さんについては、本文中にもわたしのコメントが掲載されています。小林さん(小川の評価で4位)と土屋さん(5位)は、他のカテゴリーでも登場してきていません。

 アンケートに投票した識者の方たちは、メディアが持ち上げている有名人(ビジネスメディアへの登場回数)に振り回されているように思いました。経営者として、本当の実力をしっかり見きわめているのか疑問を感じます。みなさんも、明日のポストでそれを実感されると思います。すでに過去の人が多いことに驚くと思います。

<5年後の有望な経営者>

②5年後に「最高」の経営者になっていると思う現役の経営者、または経営幹部(社長候補)など3~5人の「名前(&企業名)」と、それぞれの「順位(1位から3位~5位)」、それぞれ(一言ずつだけでも構わないので)選んだ「理由」を教えてください。

 

 わたしの選択は、次の5人でした。

 1 竹増貞信(ローソン)
 *ローソンから出身母体(商事)のトップに戻ることもありか?
2 高島宏平(オイシックス・ら・大地)
 *典型的な「ジジ殺し」のスマートな青年実業家
3 鳥越淳司(相模屋食料)
 *超飽和市場(とうふ市場)を刷新した天才マーケター
4 増本 岳(カーブス)
 *顧客と社員を本当に大切にするベンチャー起業家
5 柚木 治(ファーストリテイリング GU)
 *大いなる失敗(野菜事業)から現在のポジションをつかんだ社内事業家

 

 → わたしが選んだ未来の経営者で、全体のランキングに入っていたのは、柚木さん(20位)、竹増さん(21位)、高島さん(31位)でした。ここも、的中率60%でした。ただし、鳥越さんや増本さんが、ランキングに入ってこないのは不思議です。

 鳥越さんは、ヒット商品連発の天才マーケターとして有名ですが、20年前に売上高30億円の地方中小企業(相模屋食料、群馬県前橋市)を、グループ売上高で500億円の全国メーカーに育てた辣腕経営者です。また、増本さんは、現在、日本フランチャイズ協会会長のFC経営者で、コシダカグループからスピンアウト上場した立役者です。

 ご両人とも、一般的なメディアや研究者の間で知名度が低いだけです。5年後には、日本を代表する大経営者に育っているはずです。このカテゴリーにコメントすると、若手の経営者で選ばれている人選を見ると、AIやITなどに偏向しているように見えます。その分野で優秀な経営者であるかどうかは、技術の課題以前のことのように思います。

 

<歴代最高の経営者>

③  完全に引退、または死去した経営者で、過去「最高」だったと思う3~5人の「名前(&企業名)」と、それぞれの「順位(1位から3位~5位)」、それぞれ(一言ずつだけでも構わないので)選んだ「理由」を教えてください。

 

 1 藤田 田(日本マクドナルド) 
 *天才経営者
2 稲盛和夫(京セラ)
 *稲盛哲学が多くの経営トップを生んだ社会的な貢献
3 坂本 孝(ブックオフ、俺の株式会社)
 *新事業カテゴリーを創造を重ねた天才事業家
4 鈴木敏文(セブン・イレブン)
 *コンビニという事業領域を創発した功労者
5 松本 晃(カルビー)
 *会社の使命を徹底したプロ経営者の鏡

 

 → このカテゴリーでは、わたしが押した経営者は、藤田田さん(7位)のわずか1人でした。上位に顔を出している人たちは、想像に難くない面々です。わたしは天邪鬼なので、松下幸之助さん、本田宗一郎さん、盛田昭夫さんには投票しません。当たり前すぎるからです。

 ご存命の方が数人、20位までに入っています。宮内さん(オリックス)、丹羽さん(伊藤忠)です。しかし、ランキングの上位者は、ほぼ常識の通りでした。わたしが押した松本さん(カルビー)や鈴木さん(セブン&アイ)は、現役とみなされているようでした。

 とにかく、明日のランキングの発表を楽しみにお待ちください。