昨日の東京株式市場で取引の途中ながら、ファーストリテイリングの時価総額が10兆円を超えていました。本日の『日経新聞 朝刊』によると、トップのZARAは10兆1100億円だったそうです(1月13日終値)。半年前(2020年6月15日)、本ブログで予言したように、コロナの渦中にユニクロがZARAに追いついたようです。
以下は、ちょうど半年前の6月15日に書いた記事です(https://kosuke-ogawa.com/?eid=5262#sequel)。コロナがユニクロにとっては、順風になっているという見立てでした。その流れは、半年後の今も継続しています。
メニュー:Day Watch | 2020.06.15 Monday
「漁夫の利? ユニクロが世界一の衣料品ブランドになる日」
週末に、スペインのZARAが大量閉店(1200店舗)を発表しました。ご存知のように、ZARAは売上高で世界一の衣料品小売ブランドです。2位のユニクロとは、売上規模で約35%の開きがあります。ZARAが311憶ドルに対して、ユニクロは209億ドル(2019年8月期と12月期)。ところが、コロナで状況が急変しそうです。
(中略、下*につづく)
この記事を書いた後に、ユニクロのF部長さんに記事の存在を知らせました。拙著『「値づけ」の思考法』(日本実業出版社、2019年)の刊行でお世話になった方です。Fさんからの返信メールによると、ブログのコピー記事を読んだ柳井さんは、「ニコニコしてしていた」とのことでした。
ZARAの後ろをひたひたと追って、いずれは追い越すことができるだろう。その確信があったのでしょう。日経の記事にも同様な見立てが書かれていますが、半年前にわたしが想定していたシナリオを再掲してみます。
(上*から、つづく)
具体的に推論してみます。米国の百貨店(ニーマンマーカス)の破綻など、予兆がなかったわけではありません。ECへの事業転換が必至なことはどの企業でも常識です。ところが、欧州の2ブランドは売り上げ規模が大きいだけに、外出規制の影響が深刻でした。
同社の発表によると、ZARAは店舗を15%閉店することになっています。欧州の店舗は逐次オープンされているようですが、このままで店売りの対前年度比が30%(半年分)落ちてしまうと、単純計算では1年後には、現状の売上が7割になります(閉店効果15%、既存店‐30%の半年分)。ECは伸びているので、そこまでは落ちないかもしれません。かりにネット販売で10%補うとしても、売り上げは8割程度になりそうです。
2019年のザラの売上が311億ドルですから、7掛けならば220億ドル。2020年8月期の前半部分(~1月)は通常営業でしたから、対前年比80%で見積もると248憶ドル。対照的に、ユニクロの場合は、アジアの落ち込みは一時的です。コロナ後でもグローバルには5%増収の見込みです。となると、2020年か2021年には、ユニクロがザラを抜いてしまうシナリオが描けます。
(後略)
このシナリオは、今年1月3日の箱根駅伝の最終区間を思い出させます。トップと3分以上の差が開いていた駒沢大学の最終走者が、残り3KMで創価大学のランナーに追いついて並んだ場面です。創価のランナーと並走することなく、追いついた瞬間、一挙に抜き去ってしまいました。
ZARAが創価大学で、ユニクロが駒沢大学です。今年中に(1月から2月にかけて)、ファーストリテイリングの時価総額は、ZARAを超えてしまうことになります。そして、売上高でもユニクロがZARAを追い越すことが確実になるはずです。ユニクロはいまや、日本経済の停滞の中で、唯一の希望の星です。