小川先生推奨株(ヤオコー、ハイディ日高)の投資パフォーマンスは? 『日経マネー』(2016年6月号)のインタビューで推奨した株のいま

 「狙い目はグローバルよりローカル ~マーケティング論の第一人者が説く~ 」というインタビュー記録が、『日経マネー』(2016年10月号)に掲載されている。特集記事の50頁~51頁に、「定説の逆を行く投資を」という見出しが躍っている。わたしの推奨株は、標記のローカル小売業の5社だった。

 

 「定説の逆を行く投資を」とおすすめしたのは、ほとんどの投資家が、3年前はグローバルに展開する企業を推奨していたからだ。海外進出のリスクを過小評価する風潮に抗して、小川先生は、つぎのようにコメントをしていた(笑、自分も詳細は忘れてしまった)。
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 小川教授が主にウオッチしている小売業で、成長性の観点から注目している企業を聞くと、意外な答えが返ってきた。注目企業の筆頭として、ひたすら地域に密着して支配的な地位を築いている企業に言及したのだ。
 少子高齢化に伴う人口の減少で縮小する国内市場には成長の余地がない。内需型企業も海外に進出し、アジアなど新興国の成長市場でシェアを獲得することが必要だ。こうした考えが定説になり、海外売り上げ比率の高い企業を対象とした株の購入を勧める声も多い。
 だが、個々の小売りや食品メーカーの動向を見ると、「特定の地域に密着して、業績を拡大している企業が多い」と小川教授は指摘した上で、「逆張り投資の一環で地域密着で成長している企業に投資してはどうか」と続ける。
 代表例として小川教授は、埼玉県を地盤とする食品スーパー大手のヤオコーと、首都圏でラーメン店「日高屋」などの外食チェーンを展開するハイデイ日高を挙げる。
 ヤオコーは、今期(2017年3月期)に28年連続で増収経営増益を達成する見込み。ハイデイ日高も、今期(同年2月期)に13年連続で最高益を更新する見通しだ。
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 首都圏以外で伸びる会社も
 特定の地域に密着することで業績を伸ばすのは、人口の流入が続く首都圏を地盤とする両社だけではない。地方の特定の地域に密着している小売りの中にも、業績を順調に拡大しているところがある。
 北海道・東北地方で食品スーパーを展開するアークス、東海・北陸地方を地盤に食品スーパーやドラッグストアを運営するバローホールディングス、中国地方の地盤の大黒天物産、沖縄県でスーパー、レストラン、ドラッグストアを手掛けるサンエーなどだ。いずれも増収増益を続けたり、最高益を更新したりしている。
 「食品などは地域によって嗜好が異なり、そうした地域のニーズにうまく対応している。集中出店で配送効率なども高めている」。小川教授は地域密着の小売業の強みをこう分析する。
 特定の地域に密着する企業に目を向ければ、知られざる成長企業を発掘できるかもしれない。
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 推奨5社の株価、2年半後の結果はどうだったか?
  (2016年8月 VS 2019年6月27日終値)
1 ヤオコー   (¥4000前後 VS ¥4875)
2 ハイディ日高 (¥1500前後 VS ¥2063)
 わたしが推奨した2つの埼玉ブランドは、20%~30%上昇している。2018年秋には、それぞれ60~70%ほど株価が上っている(ピーク時2017~2018年にかけての株価は、ヤオコー:¥7000、ハイディ日高:¥2700)。しかし、大黒天物産、バロー、サンエーは、この3年間ではほとんど上昇していない。編集部のかた、残念でした。