引っ越して通勤時間が短くなったので、片道30分×2=往復60分、自由に使える時間が増えた。お駄賃のプラス60分を、2つのことに使っている。優先順位が高いのほうは、朝早くか夕方に、江戸川の堤防付近まで走って帰ってくること。もうひとつは、この頃はさぼりぎみになっていた読書とブログの更新にあてている。
読書の時間は、わたしにとってビタミン剤のようなものだ。専門書でも論文でも、はたまた小説でもよい。とにかく活字を見ていればそれで幸せなところがある。単純な習性なのだが、忙しくなるとその時間を持てなくなる。ご機嫌が悪くなる遠因だ。
それが、高砂に引っ越してからは、ゆったりと本が読めるようになった。その分だけ、精神的にも余裕が出てきているということだろう。自由な時間はな、だから貴重である。
ABCクッキングスタジオで習った料理も再開している。これは、実利的な趣味だ。本日は、かつ丼と山かけ(秋田の鷲沢さんからヤマノイモと天然のワサビが届いている)を作る予定だ。得意料理のハンバーグとカレーは、すでに作っている。
ところで、江戸川の堤防まで、高砂8丁目の新居からは1.5KMある。平均的なランニングのペースで、約9分で走っていける。昨日は、復路の時間に余裕があったので、柴又の帝釈天に立ち寄ってきた。山田洋二監督の「男はつらいよ」の舞台になっている場所だ。
フーテンの寅さんで有名な帝釈天の参道には、川甚や川千家、柴又の宮川、えびす屋などの川魚料理の店が、参道近くに立ち並んでいる。最近では、インバウンドの客も立ち寄るらしい。川甚さんの前には、大型バスが停まっているのをよく見かける。
千葉から移ってから3週間になる。そろそろ、うなぎを食べに行きたいと思っていたところだった。ジョギングで近くを走ると、ウナギを炙るにおいが参道に流れてくる。お腹がすいてくる時間帯だった。しかし、お金を持っていなかった。
正確にいえば、150円だけポシェットに忍ばせていたので、帝釈天にお参りしたときに、握っていた50円を賽銭箱に投入してみた。いつも招き猫のマーニーに依存ばかりしているが、たまには一般の神様にお願いしてみてもよいかも。そう思って、帝釈天にお参りしてみたのだった。
夕方の5時すぎで、帝釈天は人影がまばらだった。それでも、両側の店はまだ空いている。ポシェットからスマホを取り出して、参道にさしている落日の陰影を狙って撮影をしてみた。きれいに撮れたかどうかはわからない。夕日に映える茶屋と参道を歩く人の写真をインスタにアップしたら、知り合いからコメントがついていた。
「お店が閉まってからライトアップされた参道もよいですよね(笑顔のマーク)」
ライトアップされた帝釈天の参道の様子は知らない。今度は、暗くなってから走りに行ってみようと思う。
新しい生活を始めると、知らなかった風景に出会うことになる。いままでもそうだった。しかし、自分がフーテンの寅さんになってしまうとは、思ってもみなかったことだった。