「面白いモノ発見しました!」と、西安滞在中の林麻矢さんからメールをいただいた。旦那さんの林廣茂さんが、先週から二週間、西安交通大学の集中授業でマーケティングを教えている。麻矢さんはアシスタントで付き添っている。「こちらでも、京都が付くと20元の価格差!」と驚きのメールが届いた。
麻矢さんが、3日前(10月16日)に、偶然に西安のスーパーで「カルビーの”フルグラ”」を見つけたという報告だった。しかも、中国なのに、日本のシリアルブランド(日本語表記)で、地域が異なる派生ブランドが二種類ある。フルグラの「北海道バージョン」と「京都バージョン」である。それぞれの写真が添付されていた。
・左側のシリアル商品(そのままで文字を表記する!)は、
「北海道産 マイグラCalbee
爽やかな甘さと香ばしさ
食物繊維 8種類のビタミン(500G)」
・右側のシリアルは、
「日本京都産 フルグラCalbee
おいしさザクザク
食物繊維 8種類のビタミン(500G)」
となっている。
ところが、北海道産と日本京都産では、価格に大きな違いがあった。北海道産が39元(約633円)、京都産は59元(約959円)。なんと、20元(約326円)の価格差がある。
京都ブランドは、中国でも人気なのである。「京都産は、(値段が高いのに)あと一袋しか残ってません」(麻矢さん)。プレミアムが50%もついている。とはいえ、同じカルビーだとすると、中身や品質が違うとは思えない。よく見ると、ブランド名のほうも、「マイグラ」(北海道産)と「フルグラ」(日本京都産)を区別して使っている。一体全体、どうしたことなのだろうか。
送っていただいた写真は、日本語表記がややあやしかった。わたしからは麻矢さんへ、「本物かどうか、確かめていただけますか?」と返事をしておいた。そのうえで、カルビーのどなたかに、「西安で売られているフルグラが、正規品か模造品(コピーキャット)かを聞いておきます」とメールしておいた。
昨日になって、麻矢さんから「本物でした!」との返事が戻ってきた。わたしの知り合いのカルビーの方からも、「京都工場と北海道工場で作ったものです」との回答があった。ただし、そのメールには、注意書きが添えてあった。「これは国内では基本的に売らない商品です」。
日本人としては、不思議な気持ちになる。中国で売られているフルグラは、スペックは同じでも、地域バージョンには価格差が出る。明らかに、「京都プレミアム」である。国が違えば、消費者のブランド知覚はこれほど異なる。他のカテゴリーの商品でも、同じことが起こっているのだろうか。
麻矢さんに、追加の調査を依頼していみたい。
ちなみに、日本で売られているフルグラ(500g)の値段は、小売店(ネット)によって異なるが、500円~585円だった。北海道産のお値段である。京都のブランド力は、中国ではかつてのフランスのパリ並みなのである。