【お知らせ】 今月発売の『食品商業』(2018年8月号)から、新しい連載が始まります。

 連載のテーマは、そのものずばりで、「農と食のイノベーション」。この二年間で、取材してきた日本の農業と食品産業の未来について、事例ベースと枠組みを提供していきます。連載の第1回は、「農場から食卓まで、フードチェーンの未来」というテーマで連載の概要を紹介しています。

 

 第一回は、<食卓の未来> <日本の農業の変革者> <伝統的な農業が抱える4つの壁>について議論しています。

 とくに最後の農業の壁については、野菜の取引プラットフォームビジネスをはじめた「プラネット・テーブル」の菊池伸さんが、農業分野に参入した個人的な動機を解説しています。

 菊池氏の語る「伝統的な農業が抱える4つの壁」とは、彼が28歳で、母親の実家がある山形で「週末農業」を始めたときに感じた農業への違和感でした。

 1.畑でおいしい(熟した、状態の良い)野菜が出荷できない。

  青いもの、硬いものしか出せない。消費者は美味しくないものを食べさせられる。
 2.地域の出荷団体が採用している共撰共販だと、だれが作ったものなのかわからない

  (品質がちがうものが混じってしまう)。独自性が打ち出せない。
 3.小売店や飲食店からフィードバックがない。

  問題点が指摘されないと、改善すべきことがわからない。そして、
 4.作る側には、価格決定権がない。

  これでは、中長期の計画が立てられず、そもそも経営が安定しない。

 

 菊池さんたちは、上記の4つ壁を突破するため、多品目少量生産の農家を支援するシステムを考案します。連載の第二回では、「取引プラットフォーム」(SEND)の事例になります。第3回目以降も、農畜水産物の流通システムやマーケティングの仕組みに変革を興そうとチャレンジしている経営者や事業体の事例(代表例を以下にリスト化します)を紹介していきます。

 

 図表 事例で取り上げる企業(予定)
1.農業分野

 (金沢大地、柴海農園、NORAなどの有機農業生産者、イオンアグリ創造、ローソンファーム)
1.食品小売業

 (エブリイ、福島屋、ビオセボン、近大、ヤオコー、ナチュラルローソンなど)
2.流通システムと食品加工業

 (プラネット・テーブル、坂ノ途中、相模屋食料、不二製油)
3.地域の取り組み

 (鶴岡市、魚津市、海の京都など)