第1回講義の課題は、映画「ファウンダー:ハンバーガー帝国のヒミツ」を見たあとで、「マクドナルドの創業者は、マクドナルド兄弟か、それともレイ・クロックのどちらだと思うか?」に答えることだった。聴講者58人からレポートをもらった。その傾向が面白かったので紹介する。
社会人学生の回答分布は、ほぼ半々に分かれた。マクドナルド兄弟(マックとディック)と答えた人が、26人。レイ・クロックと回答した学生が23人。二人とも創業者だと答えたひとが、6人。不明が3人いた。
全員で58名。こんなにたくさんの人が「ビジネスイノベーター育成セミナー」を聴講していたのだった。
判断の分かれ道のひとつは、「創業者」の定義にあったようだ。「ビジネスの元」を作った人(アイデア創出とオリジナルのビジネス)を、日本語で「創設(立)者」(英語では”ファウンダー”)と呼んだり、事業を拡大したひとを「事業家」(企業家)と呼んだりしていた。定義の問題もあるのだが、そこをきちんと定義しいるレポートは「A」である。
「A+」は、16人ほどいるが、「+」をもらった学生は、「論理的であるか」「判断について他人とちがうユニークな視点を提供してくれているか」。そのどちらである。
この課題を最初の日に出したもうひとつの意図は、イノマネのような起業志向が強いはずの社会人大学院で、学生たちが、レイ・クロックの企業家としての魂をどのように評価するかだった(Q2)。
この点に関しては、ほぼほぼ、彼の人間性に関するネガティブ評価は共通していた。しかし、「根気と信念」には一様に高い評価が与えられていた。とはいえ、「自分はレイのような起業家には到底なれない」という嘆きにも似たため息も聞こえてきた。その点で、「ビジネスリーダー論」の映像テキストとして、「ファウンダー」を選んだことは正解だった気がする。
なお、21世紀のいまでは、クロックのような資質だけでは成功がおぼつかないのでは?そんな意見も多数から出された。個人の生活と仕事のバランスについて、もうすこしどこかで議論する必要があるのかもしれない。
とはいえ、レイ・クロックとマクドナルド兄弟の生き方は、20世紀の米国を代表する事業家の姿を典型的に映し出しているのかもしれない。
明日の講師:カルビーの松本会長の講演をお楽しみに。