深く共感した記事=「崩れた米1強 海図なき安全保障」(『日経オンライン』のコラムから)

 本日(11月4日)の『日経オンライン』に、心から共感できる記事が掲載されていた。秋田浩之さんの署名記事である。北朝鮮、韓国、中国と変転するアジアの軍事情勢のなかで、日本の立ち位置を明確に示した「海図」だと思う。行動で対応しなければ、日本は世界から相手にされなくなる。

 

 第二次世界大戦の平和トラウマからは、そろそろ卒業してもいいのではないか。自分を守れない、そして隣国が苦境に陥っているときに、命がけで敢然と行動を起こせない(「日経オンライン」の記事全文を参照のこと)。

 自分が他国の市民ならば、そのような国を信頼することなどできないだろう。それは、命を金で代替できると思っている、単なる金持ち国の傲慢に過ぎない。もういいだろう。

 秋田氏のコラムの結論部分を引用する。これが、日本が進むべき正しい海路ではないだろうか。心からの感銘を受け、その主張を強く支持する。常識的な考えだと思う。しかし、いままで日本は、このようなまともな意見を封殺してきた。

 

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 ■米を組み込み、多国間協力網を

 世界各地で戦争や危機が絶えないなか、日本が戦後、平和と安定を保ってこられたのは米国との同盟があったからにほかならない。だが、同盟は生き物に似ていて、環境の変化に合わせて姿を進化させられなければ、生命を保つことができない。激動の平成史が物語るのは、まさにこの点だ。
 では、今後も日米安保体制を保ち、日本の防衛に役立てるために、平成の教訓をどう生かせばよいのか。まずは米国の国力が相対的に下がり、もはや独力では「世界の警察」を担い切れなくなっている現実を直視することだ。
91年の湾岸戦争や03年のイラク戦争でも、米国は日本の貢献を期待した。ただ、当時の米政府当局者によると、日本に望んだのは、いわば、同盟国としての「心意気」を示すことに主眼があった。
 「ショー・ザ・フラッグ(日の丸の旗を見せてほしい)」。米同時テロ後のアフガン開戦に先立ち、米政府高官は日本側にこう協力を促した。この言葉にも、そんな意味合いが込められている。
 裏返せば、仮に日本などの支援を得られなくても、必要なら米国には単独で軍事行動する体力と気力があったといえる。
だが、そうした時代は終わりつつある。台頭する中国との国力差が縮まるなか、米国がアジアの平和と安定を守るには、日本やオーストラリア、韓国といった同盟国との協力をさらに深めるしかない。これは北朝鮮危機への対応にも当てはまる。
 日米同盟を足場に、オーストラリアや韓国だけでなく、インドや東南アジアの友好国にも呼びかけ、域内に多国間の安全保障協力網を育てていく。そこに米国を組み込み、秩序を保つ――。
 こんな構想を描き、実現に向けて各国と連携することが、日本に求められる役割だ。その成否がアジア太平洋の安定も左右する。(秋田浩之)

 

崩れた米1強 海図なき安全保障 - 日本経済新聞
平成における日本の安全保障政策は、はじめから明確な海図があり、その通りに歩んだわけではない。押し寄せる危機の波に押され、日米同盟を立て直し、防衛体制を強めざるを得なかったのだ。その流れはさらに強まっている。尖閣問題、首相がひそかに指示毎月中国の監視船がやってきて、領海への侵入が繰り返される尖閣諸島。2012年に日本が尖...