先週の大学院の授業で、「マクドナルド復活は本物か?」というテーマでグループ発表を行った。院生たちの分析は、“3対1”で「復活は道遠し」だった。その際、あるグループから、「マクドナルドの利用頻度が落ちているのではないか?」との仮説が提示された。
店舗ブランドの人気のバロメーターが、「店舗の平均利用頻度」あるいは「ヘビーリピーター層の厚み」だとすると、たしかに復活を阻む大きな壁になるかもしれない。早速、学生たちから提示された「ヘビーリピーター層の減少」という仮説を検証してみることにした。
JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査項目の中には、ファストフードの利用頻度を尋ねる質問ある。対象ブランドはたくさんあるが、マクドナルドとの比較で、ケンタッキーフライドチキン(KFC)とモスバーガーの利用頻度を分析対象としてみた。
データのとり方が、<2013年~2014年>(半年で2回以上利用した回答者に対して、最近3か月に利用した回数をたずねている)と、<2015年~2016年>(一年で2回以上利用した回答者に対して、最近3か月に利用した回数をたずねている)と異なっているので、4年間の傾向を見ることはできない。ただし、回答条件が同じ<2013年>と<2014年>を比較することはできる。また、回答条件はやや異なるが、<2015年>と<2016年>の利用頻度の傾向をどうにか比較はできる。なお、実際には、10回以上の利用は、もっと細かく頻度を取っているが、10回以上の利用は一括している。
結論を整理する。院生たちの仮説=「ファストフードは、全体として利用頻度は落ちているらしい」はどうやらただしいらしい。
<2013年>と<2014年>を比較すると、3つのブランドともに、ヘビーユーザ(3か月で5回以上の利用者)は減少している(KFC:18.0%→16.6%、マック:35.5%→33.1%、モス:24.4%→19.8%)。<2015年>と<2016年>の比較では、ヘビーユーザ(半年で5回以上の利用者)はやはり減少している(KFC:29.4%→19.9%、マック:55.9%→46.4%、モス:34.9%→24.4%)。どのブランドも、2016年に、ヘビーユーザを同程度(10%ほど)失っている。
それとは逆に、とくに、<2015年>から<2016年>にかけては、超ライトなユーザ(半年に二回利用)が割合として大きく増えていることがわかる。KFCが31.4%から37.1%へ、マックが16.3%から24.6%へ、モスが26.1%から36.7%へ2~3割近く増えている。
ただし、ファストフードの売り上げが、2016年の夏ごろからは回復傾向にある。学生の仮説が本当に正しいのかどうかは、来年4月のJCSIの調査で明らかになるだろう。直感的には、ヘビーユーザのファストフード離れが進んでいるようには思う。
<データ>
ファストフード3社の利用頻度(※JCSI、毎年4月に調査実施)
<2013年度> 最近3か月に利用した回数
調査対象 2回 3回 4回 5~9回 10回以上
KFC 43.3% 31.8% 6.9% 14.0% 4.0%
マクドナルド 22.8% 30.7% 11.1% 28.2% 7.3%
モスバーガー 36.7% 30.1% 8.9% 20.3% 4.1%
<2014年度> 最近3か月に利用した回数
調査対象 2回 3回 4回 5~9回 10回以上
KFC 43.2% 33.8% 6.3% 13.0% 3.6%
マクドナルド 24.8% 35.0% 7.1% 22.3% 10.8%
モスバーガー 42.5% 32.3% 5.4% 15.0% 4.8%
<2015年度> 最近半年に飲食した回数
調査対象 2回 3回 4回 5~9回 10回以上
KFC 31.3% 29.4% 10.0% 22.9% 6.5%
マクドナルド 16.3% 21.7% 6.1% 32.3% 23.6%
モスバーガー 26.1% 28.3% 10.7% 25.2% 9.7%
<2016年度> 最近半年に飲食した回数
調査対象 2回 3回 4回 5~9回 10回以上
KFC 37.1% 34.3% 8.8% 16.4% 3.5%
マクドナルド 24.6% 22.1% 6.9% 27.8% 18.6%
モスバーガー 36.7% 28.2% 10.8% 16.5% 7.9%