九州取材の帰り道、福岡空港での出来事。メルヘンローズでの取材が長引いて、しかも福岡市内までの道路は渋滞。それでも出発1時間前にロビーで軽い夕食をとることができた。チェックインが終わって10番ゲートまで移動すると、アナウンスがあった。
「18時50分発羽田空港行き052便で、お席を譲れるかたへスターフライヤーからご協力のお願いです。」
夕方の便で6席分がオーバーブッキングになっているらしい。2時間後(20時50分)のANAに変更すれば、1万円あるいは6千マイルがもらえるらしい。20年ほど前に、サンフランシスコ空港で同じようなことがあった。デルタ航空のLA行きシャトル便でだった。
アメリカではこうした振替依頼がよく起こる。オーバーブッキング(キャンセルを見込んで、座席数を多めに予約を受けつけること)が日常茶飯事に起こる。あのときは100ドルをいただいて、一時間後の便に搭乗した。
急ぐ旅ではない。帰ってからは森下のマンションで寝るだけ。なので、今回もボランティアで20時50分発のANAに振り替えることにした。ちなみに、18時50分の便はすでに25分遅れている。実際は1時間35分の遅れである。
しかし、あと1時間半を何をして過ごすか。同行の野口さんは、わたしとは状況がちがっている。羽田に着いてから帰宅するまで、2時間ほど電車を乗り継がなけれならない。野口さんは予定通りに、SFJ052便で羽田に向かった。
わたしは、空港のサービスを観察する意味もあったが、何よりも1万円をいただくことにうれしい。ところが、2時間後の羽田行きのANA便は、出発ゲートが反対側の1番だ。この10番ゲートからは、移動に10分ほどかかる。さりとて、セキュリティチェックは終わっている。もう一度ゲートをくぐってフードコートに出るのは面倒くさい。結局は売店でハイボールを頼んで、1時間を過ごすことにした。
羽田から福岡に来るときはスターフライヤーで、帰りはANAになる。両社のオペレーションやサービス対応の違いなどを比較するにはちょうどよい機会だ。来年の1月(14~15日)には、大学院の演習(マーケティング実行論)で、スターフライヤーの搭乗サービスチェック(いわゆる、ミステリー・パッセンジャー)の実習を行う。その予備調査のつもりでもあった。
振替のANA便の搭乗時間が来た。と思ったら(笑)、20時50分発のANA便も、機材の到着が遅れてしまった。21時15分出発に変更に。搭乗時間がやはり2時間遅れになった。世の中はそんなに甘くない。
スターフライヤーはA320(エアバス)で、搭乗人数も120~140人。機内もコンパクトな造りで、レッグスペースにも余裕がある。座席間のピッチが広く取ってあって、圧迫感がないゆとりを感じられる。それに対して、全日空はボーイング777を採用している。それほど狭くは感じないが、普通のピッチである。
搭乗手続きが開始された。777のような大型の機材は、搭乗がスムースにできない。優先搭乗のあとからは、搭乗客の移動動線がぐちゃぐちゃになっている。わたしは、52Gなので先の搭乗になった。それでも、なかなかスムースに奥まで入れない。3×4×3のシートフォーメーションは、なんとはなしに窮屈に感じる。
さて、はげしい雨の中、予定より25分遅れて、振替えのANA便は福岡空港を離陸した。羽田空港への到着は、予定より少し遅れて11時半。そのあとが問題だった。
羽田からモノレールで浜松町まで行って、大門で都営大江戸線に乗り換えた。大門駅のホームで両国方面行きを待っていた。なんと、新宿の都庁前行き12時03分発の電車が最終だったのだ。
これを逃していれば、タクシーになったはず。せっかくゲットした一万円を、すんでのところでふいにするところだった。