フェルミ推定遊び(上):「法政水」(学内の自販機で売られている法政のブランド水)の年間販売本数を当てる

 学部ゼミの授業で、教科書Consumer Behaviorに「米国有名私大のグッズ販売額」のコラムが掲載されていた。ASU(アリゾナ州立大学)の事例では、ASUグッズの年間販売額が数億円となっていた。素朴な疑問がわいた。それでは、わが法政グッズの売上高は?

 

 法政グッズ全体でもよいが、よりわかりやすいのは、「法政水」の年間販売本数を推定することだろう。法政水(ほうせいすい)とは、キャンパス内の自販機で売られている法政のブランド水のことだ。キャンパスで水など湧き出はしないから、実際には島根県浜田市で採れた水を、法政大学がPB化したものだ。

 文殊の知恵である。個人別課題ではなく、グループで知恵を絞って「当てっこ」してもらうことにした。ゼミ生20人が5チームに分かれて、課題は3つである。

 (1)「法政水」の年間販売本数、

 (2)その他法政グッズの年間販売額を推測すること。そして、

 (3)そのように推測したプロセスと手がかりとなる手法と数値を、各チームで解説すること。

 優秀チームには、「市ヶ谷駅前のプロントにて、ビールを一杯おごる」!と宣言した。動機は十分に高まった。予定時間の15分をオーバーして、40分ほどで、①法政水と②グッズの総販売額を推測することになった。

 

 ちなみに、この場合の推定手法は、「フェルミ推定」と呼ばれている。フェルミ推定(Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す(ウイキペディアより)。

 わたしのような実務家的なリサーチャーやコンサルタントが、現場でよく用いている手法である。論理的な推論と手がかりとなる数値をどこからどのように持ってくるかが、フェルミ推定の肝になる。学生の推論と推計に用いた手がかりは、なかなか興味深かった。1班~5班まで、班ごとのやり方に特徴がある。

 学生たちが、コンペ後で送ってくれたメモ(まずは結果のみ)を掲載する。みなさんは、①法政水と②法政グッズはどれくらい売れていると思われるだろうか? 法政大学の事業室に電話を入れたら、結果はすぐに判明した。

 学生の推定値は、班ごとに次のような結果になっている。
<1班>
①水の売り上げ:20万6862本 ②総売り上げ:1670万円
<2班>
①水の売り上げ:2万本 ②総売り上げ:2500万
<3班>
①水の売り上げ:7.2万本 ②総売り上げ:7500万
<4班>
①水の売り上げ:2.2万本 ②総売り上げ:875万
<5班>
①水の売り上げ:2.5万本 ②総売り上げ:4千万
 さて、結果は?