ふたりは、同点のワンツー・フィニッシュだった。獲得賞金は合計で80万円。小林君は、Shared Breweryの企業資金の一部に充当。大塚君はすでに独立している。台湾との合弁事業に2500万円が必要だから、その準備渡航費の一部になるのだろう。
イノマネ研究科の開設から12年。プロジェクト最終選考会(修士論文に相当するビジネスプランの作成)の優勝者は、小川ゼミだけで7名になる。井関くん、森本くん、水下くん、山下くん、川村くん、そして、今回の大塚くんと小林くん。二年に一回、優勝者を出している勘定だ。
二着に該当する優秀賞も、ホルヘくん、花畑さん、斉藤さん、小松田くんなどが獲得してくれている。小川ゼミが獲得した累積賞金額は、かなりのものになる。賞金総額の20%~30%は、小川ゼミで占められている。今年も、獲得シェアは40%(80万円)である。
プレゼンの結果だけでなく、ふたりの発表内容を紹介してみる。
小林大亮くんのプロジェクトは、テーマが「Shared Brewery プロジェクト」で、サブタイトルが、「ビールの自家醸造を合法化するサービスの提供」。要するに、非合法のまま自宅でビールを作っている密造者に、醸造施設を貸与して自家醸造を合法化するサービスである。小林君のShared Breweryでは、3つの楽しみ(ビール自慢、技術の向上、仲間づくりの場)が実現できる。
彼の推定では、現在2万人(日本国内)と推定されているビールの自家醸造家が、10年以内には米国並み(200万人)の比率に近づくだろう。とすると、マイクロブルワリーの市場は、日本でも50万人規模になる。
その時までに事業の基盤を固めておいて、その先は、国産の原料(ホップとモルト)の生産にも乗りだすことにする。将来的に、ダントツの一番になれば、そこから事業としてのビールづくりもありうる。
大塚一由くんのプロジェクトは、「デジタルサイネージ・コマースの環境創造ビジネス」。サブタイトルは、「商業空間向けの可視光通信サービスの日台連携開発モデル」。大塚君は、商業施設の建築デザインからキャリアをスタートした。その後、10数年間、テレビショッピングの海外事業の立ち上げを経験している。
このふたつを組み合わせて、可視光通信を軸に、日本では有効に使われていないデジタルサイネージに着目した。スーパーやショッピングモール、エアポートなどの公共空間に、サイネージを適時・適所に上手に配置することをコンサルティングする。商品やサービスについての情報提供や店舗への顧客の誘導を効率よく成し遂げることが目的である。
システム開発は台湾で、2020年のオリンピックに向けて、東京で事業を開始する。二段階方式を目指している。
ふたりのビジネスプランは、かならず成功すると思う。とりわけ小林君の事業はスピードが勝負になる。クラウドファンディングを予定しているので、ぜひとも、皆さんからご出資を!!!