岡藤正弘くん(伊藤忠商事)、3期目の社長続投が決定。難儀なことですなあ、、、

 今朝の日経新聞電子版で、岡藤君(伊藤忠商事)の社長続投が報じられていた。二期6年で社長を退き、会長職就任との下馬評が覆されたわけだ。想定通りとはいえ、そうなってみると、またしても困難な時期にトップ再任された大変さに同情する。



 わたしも岡藤君と同じような立場にある。4月から二度目の学科長(ビジネススクール長)に就任することになった。青天の霹靂は、二度目である。というのは、2000年代の初めに、経営学部長を二年間勤めあげている。お役御免のはずで、ふつうは再度の部門長就任はありえない。実際は、しかし、5年前に大学院の学科長を二年間”務めさせられた”。
 いまさら、三度目の「店長」はやりたくない。しかし、むずかしい判断をしなければならないときに、それができる人がいないのだ。新規事業へ乗り出し、不採算部門を切り離す。人事をそつなく機動的に変えていく。岡藤君も同じ立場にいるのだろう。商社のトップに躍り出たタイミングで、経営トップを任せられる人材はそうそういるものではない。
 伊藤忠商事も法政大学も、決して人材が不足しているとは思わない。ただ、決定的な瞬間に直面して、クールに組織を率いていく覚悟をもった人材となると。引退したいところだったろうが、いたし方がなかったのだろう。

 日経の報道から引用する(2016年1月12日、夕方の配信)。
 
 伊藤忠商事の岡藤正広社長は12日、トップ就任から丸6年となる4月1日以降も社長を続投すると表明した。社員向けサイトでメッセージを出した。巨額出資をした中国中信集団(CITIC)グループなどとの具体的な提携協議が進行中で、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスの経営統合も今秋に控える。「眼前の課題は自分の代でメドをつけないといけない」と判断した。
 伊藤忠は2016年3月期に純利益で初めて総合商社首位に立つ見通しで、経営体制を維持することで「首位を確固たるものにしたい」としている。同社では丹羽宇一郎氏、小林栄三氏と過去2代の社長が6年で交代した。それ以前には10年前後務めた社長もいる。

 そんなわけで、わたしと岡藤君の間で交わされていた「密約」は実現できないことになった。岡藤君が会長に退いたら、法政大学のビジネススクールで客員教授に就任してもらう。この約束が3年先に延びてしまった。
 このままだと、もしかすると、そのころにはわたし自身が引退している可能性もある。「岡藤正弘・法政大学客員教授」は、永遠に実現できないのかもしれない。法政大学の大学院生にとっては残念なことだ。