「社長はつらいよ」: 社長のしんどさランキング

 少し前は、大塚家具の父娘による株主議決権争奪戦、最近では、ニトリ家具の母子の確執がメディアを賑わせた。誰が社長の椅子に座るにせよ、社長職はうわべの派手さとは異なり、案外と辛いものなのにちがいない。今日は、知り合いの経営者から聞いた「社長はつらいよ」の小話を紹介する。



 わが友人(二代目社長)が、知り合いの3人の社長たちと会食したときの話である。話題は、某大手家具小売りチェーン(大塚家具!)の親子ゲンカの話になった。
 ひとりの社長Aさんが、友人に向って、「2代目と創業者の関係って大変そうだよね。経営方針が違うとケンカになるだろうね」と、大塚家具の事例が、友人にも身の上にも起こりそうと同情してくれた。
 その話を聞いていたもうひとり(社長Bさん)が、「いやいやサラリーマン社長はもっと大変だよ。だって、株を持ってるわけじゃないし、部下は先輩だし。クビになったらタダの人だし」と、二人の会話に割って入った。
 「その点、おふたりはいいよね。創業者だから、何でもできるでしょ。オーナー系の経営者とわたしらサラリーマン社長は立場が全然違いますよ」という趣旨の話をした。
 これに、もうひとりの創業者社長(Cさん)が割って入った。「確かに何でもできるけど、自分ひとりの勘によるものが多くて、マニュアルにはできない。科学性に欠ける気がしているんですよね」

 そのあとは、そんなたわいない会話がしばらく続いていたらしい。ということで、その日の会食に参加した4人の結論としては、社長の精神的な大変さ(=しんどさのランキング)は、ワーストから順に、①サラリーマン、②二代目経営者、③創業者と決まりかけていた。
 ところが、ひとり(Bさん)が、ふとつぶやいた。「いや、もっとなりたくないパターンがあるよ」。残りの三人は同時に、「なに?それ」と反応。「創業者の娘婿が社長になるヤツ。何人かいるけど、あれは大変そうだわ!」。
 というわけで、この発言で、「社長のつらさ、ワーストランキング」が更新されることになった。

 最後に、わが友人のコメント。
 「本当の大変さは、また別のランキングだと思いますがね。先生、くれぐれも匿名でお願しますよ。実名は困ります。わたしの友人がまた減っちゃいますから(笑)」
 わたしからのコメント。
 専門経営者の場合は、どうなのだろうか?しんどさのランキングの順番は? わたし(大学教授)の立場は、ごく無責任だよな。その分、お金がないものね。