小沢氏の財政政策=現代の「徳政令」(国の借金の棒引き)と国債増発の関係

 今朝の新聞報道には、わたしも目をむいてしまった。なぜなら、小沢氏が「菅氏を重要経済閣僚に起用する」とあったからだ。勝ったも同然の態度である。もうひとつは、積極財政で赤字国債の増発政策を打ち出したことである。それ見たことか!徳政令を実施するつもりだ。


9月5日の本HP(以下に再掲載)では、小沢氏勝利のあとのシミュレーションを行った。
 二番目は、以下の積極財政への転換だった。予想の通りに、小沢内閣は、現代の「徳政令」=国債増発による積極財政策、借金の棒引きのためのインフレ政策に手を染める決意をしたらしい。

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(2)積極財政への転換:
 当面は、消費税率の引き上げ(5→10%×)の可能性は消える。法人税率にも手を加えない(40%→35%×)で、そのままの据え置きである。税率はそのままにして、経済成長戦略の推進が、主要テーマになるだろう。
 おそらくは、過剰インフレを企図した「ダム作り」が志向されるだろう。国家が破産するよりは、実質的に、インフレで「徳政令」を実施したほうがましだからである。この政策は、日本固有のものではない。
 世界が再度、インフレに向うのだ。意図的に、お札をたくさん刷るだけのことだ。米国がお札の輪転機にすでに手をかけているではないか。だから、ドルがこんなに安くなっている。日本も造幣局の輪転機を回ることになるだろう。
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 誰が小沢氏の知恵袋なのか。興味深い。こんな政策は、かなり読みが深い政策通でないと、大胆には提案できない。すべてが一貫性のある政策・主張だからだ。
 小沢氏の人間的なクリーンさには、相変わらず、大きな問題は残されている。しかしながら、政治的な方針と経済政策に関しては、本日までのところ、菅さんは遠くに及ばないところまで、引き離されてしまっている。
 政策ブレーンの質がかなりちがうのだろう。間違いなく、旧自民党時代からの政策通が、小沢氏の後ろには控えているようだ。ちなみに、わたしがいま、経済政策のブレーンだったら、まったく同じ提案をするだろう。
 おそらく、菅首相には、あまり優秀なブレーンはついてない。なぜなら、理念で物事を語ってばかりで、きちんと将来をシミュレーションしていないからだ。どちらにせよ、民主党左派には、もう挽回のチャンスはない。

 以下では、国債増発がもたらす帰結を予測してみる。

(1)金価格がさらに上昇(土地など、資源価格は上昇に転じる)
   → 不景気のはずなのに、都心の地価が上昇しているのを、
      みなさん、おかしいとは思いませんか?
(2)株価への影響はニュートラル
   → 物価スライドくらいの感覚か?
     銘柄を選択すべきで、資源関連とかは上昇気配
(3)高齢者から若い世代への静かなる所得再配分
   → 年金生活者には不利になるが、若者には良いことだろう
(4)長期金利の上昇
   → 当たり前だね。ペーパー(紙幣)に価値がなくなるから
(5)雇用情勢はむしろ改善
   → とくに、若年層の失業者はやや減るだろう
     公共事業や間接的な補助金(子供手当て的なお金)が増えるから

 望みは、やりすぎて、「ハイパーインフレ」を起こしてくれないことである。静かに、経済そのものを立ち直らせてくれさえすればよい。米国人をはじめとして、世界中の「借金族」は、その結果、とても幸せになるはずだ。
 もちろん、そのプロセスでは、日本や中国が貯めてきた対外資産・債権などは、大幅に減価することになる。国内の所得と資産の再配分のためには、それもいた仕方がないことだ。