岩田社長(ロックフィールド)のインタビューは、昨日(4月7日)無事に終わった。約80分の詳細な記録は、いずれ「チェーンストアエイジ」編集部(石川編集長が担当?)のエディティングで、5月1日号で公開されることになっている。
インタビュー中に印象的だったある事柄を紹介する。それは、(たぶん)4年前にRFが開発した業態「融合」(アジアンフード)の開発に関する挿話である。以下は、わたしの印象と岩田社長の説明を要約した記述である。昔の記憶も混じっているので、やや不正確かもしれない。
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いまは消えてしまったRFの過去の店舗業態に「サラダバック」(2号店が市ヶ谷の駅前にあった)がある。その主力商品が「生春巻き」だった(いまでも人気商品として存在している)。あの商品は、岩田社長がプロジェクトチームを組んでベトナムを食べ歩いた経験から、7年ほど前に導入されたアイテムである。わたしが最初に食べたのが、市ヶ谷のサラダバックだった。
そして、商品開発チームとしては、サラダバッグのつぎの業態を「チャイニーズ」(中華)にしたかった(岩田社長の弁)。たしかに、すかいらーく系列の「バーミヤン」を見ても、和風(夢庵)、洋風(すかいらーく、ガスト)のレストランに続いて、つぎに大きなカテゴリーを選ぶとすれば、自然な流れは「中華」の業態になる。しかし、そこは岩田社長らしく、つぎの業態としてチャイニーズを選ばなかった。ロックフィールドらしい、「ミックスされた」アジアンフードを主張したのである。それが「融合」である。いかにも岩田社長らしい、食を通したある種の「アジア的な感覚」(アジア観)がある。
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実は、関連していま読み進んでいる3冊の本と共通する「アジア観」(アジア感覚)を、岩田社長に感じたのである。まず最初の共通認識として、アジアは一つではない。アジアは、日本でも、韓国でも、タイでも、ベトナムでもない。中心もない。だから、アジアの食のセンターは、中国(中華料理)ではない。しかし、アジアの個々の文化が溶けて流れ出して融合してできあがった「アジアンらしき」もの(料理)は存在するらしい。文化も同じである。「案外・・・日本がアジアの食の中心になれかもしれない」(岩田社長)。「なぜなら、日本人は食文化のリミックスを実行してきたからである。わが社の歴史を見るとその通りになっている」。
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さて、関連していま読んでいる3冊とは、発表年代的に決して新しいわけではないが、亜州奈みづほ『「アジアン」の世紀』中公新書、原洋之助『現代アジア経済論』岩波書店、小山鐵夫『資源植物学フィールドノート』朝日新聞社、である。最後の小山先生の著書は、タイの植物資源を知るために、青木恭子さんにすすめられたものである。明後日(4月10日~12日)中国へ旅行する前に読み終えたいと思って、取り出してきた3冊であった。
3冊に共通している変え方は、「西欧の経済と比べて、アジアの経済をして後進的とは言えない」(原)。「アジアの文化は、ダブルである」(亜州奈)。「アジアの食の融合」(岩田)。