【全国シベリア調査】途中経過(#1):餡子の偏りとメーカー・販路

 本日は、元ゼミ生の中本さんと元院生の阿部さん(ローソン勤務)から、全国シベリア調査の報告が送られてきた。それ以外には、元ゼミ生からは2通、友人・院生からも2通のアンケートが返送されてきている。また、家族や何人からは、シベリアの写真が到着している。

 

 調査開始から約一か月。追加(改訂)で、次のことが判明している。

 
(1)シベリアの形状

 3種類(長方形、三角形、円形)あるうち、あんこの層が「シングル」の場合がほとんどである。全国的に見て、「販売:山崎製パンで、製造:工藤パン」の組み合わせが最強であることと関連しているだろう。シベリア鉄道の「二層パターン」は例外だった。
(2)カステラと餡子の比率(前回追認)

 カステラの方が厚い場合がほとんどである。専門店であんこ比率が高くなる場合がある。
(3)餡子の厚さが均等にならない理由

 前回は不明だったが、ローソンの阿部さんが工藤パンにヒアリングしてくれた結果を報告してくれた。製造工程に原因があるとの推論を最後に紹介する(本日の阿部レポート)。

 

(4)シベリアの人気度

 前回は、「かつて庶民に人気の和菓子だったが、次第に人気がなくなり廃れていったようだ」とコメントしたが、中本さん(東京都在住)からのレポートでは、わたしも鑑賞したジブリ映画「風立ちぬ」で人気が再燃したとなっている(このシーンが記憶に残っていなかった!)。以下は、中本さんからのメールである。

 「主人公の二郎が買って帰るシーンがあり、一時期話題になりました。なお、同映画にでてくるシベリアは西武柳沢に実在した 「サンローザ」というベーカリーのシベリアがモデルとなったそうです(2018年閉店)。シベリア登場シーンの画像などがこちらのURLに載っていました(http://tabe-repo.net/?p=2169https://neta7.com/8554.html)。

  

(5)フォッサマグナ仮説(まちがい?)

 事前調査では、中央構造線より西側(関西、四国・中国、九州地方)では、ほとんどシベリアの話を聞かなかった。「シベリアの分布は、中京地区から東側、関東地方と東北地方に集中している」(フォッサマグナ仮説)。

 実際は、関西地区で大阪は空白地帯だったが、なぜか神戸では大規模に配荷されていた。しかし、取り扱いに偏りが見られた。神戸在住の長男によると、「山崎製パンと工藤パン」の組み合わせで、神戸のローソン(3店舗)ではふつうにシベリアが見られたそうだ。ただし、四国・中国・九州地方からは、シベリアが販売されている報告はない。中京地区では、変異種が観察されている(専門店で販売)。

 

 <阿部レポート>(今朝:5月2日報告)

 ローソン(元院生)の阿部さんが、工藤パンの担当者にヒアリングを実施してくれた。結果は、以下の通りである。製造工程によるものとみられる。パン・菓子専門店でも、シベリアの餡子は厚さがやや不均等な場合が見られたが、それほど極端な例はなかった。しかし、大量に製造するシベリアの工程(工藤パン)では、餡子の厚みが均一にできないようだった。

 「小川先生 おはようございます。シベリアブログ拝見いたしました。面白い結果が出そうですね。山崎も口がかたいですが、工藤パンに確認してもらったところ、餡のあつさでは管理してなく、あくまで製品重量とのことでした。たしかに、1個1個製品の餡のあつさを確認するのは、生産性の観点では難しいと思います。推測ですが、餡はおおきな平面で製造しているので、蒸し状態により厚さがばらつきが出る(特に、端とまん中では差がある可能性が高い)。同じく、大きな平面カステラ生地にのせ、個別サイズにカットするので、なんらか圧力がかかった部分は薄くなる。この辺が原因かと思いました」(阿部仮説)。

  

 以上、全国シベリア調査の途中経過をお知らせしました。関西以西の方で、シベリアを店頭で発見された方、小川へ情報を戴ければ幸いです。