過達成への自戒

 当初の予定以上に成果が上がってしまうことを、「過達成」の状態と呼ぶ。結果が期待を超えているのだから、それは良いことのように思われる。しかし、出来過ぎには注意が必要だ。頑張りすぎていることがあるからだ。また、実力以上に結果が出ているわけだから、慢心を生む元凶にもなる。



 これまでの人生では、過達成のあとに必ずスランプがやってきた。原因は上のふたつである。頑張りすぎと慢心。だから、良いことが続いているときは、「勝って兜の緒を締めよ」である。自戒を込めていうならば、自分の実力を過信しないことだ。
 わたしがいま置かれているのが、まさに「過達成」の状態である。やることなすことすべてがうまくいってしまっている。実現が不可能と思って取りあえず提案したことが、特段の障害もなく通ってしまう。失敗するはずと思ったことが、運がよくて成功してしまう。
 昨年のマクドナルド本のヒット以来、原稿や講演の依頼が引きもきらない。書籍やプロジェクトの企画が難なく通る。原稿を書いたりプロジェクトを推進することが、短時間にそれほど苦労なく完遂できる。仕事にスピード感をもって取り組んでいるので、出来上がりの評判も悪くない。

 提案のタイミングも悪くないからだろう。ごく自然に、人と金と情報がわたしの周りに集まってくる。これがまた、つぎの好循環を生んでいく。
 この場合に注意すべきことは、まずは自分の健康に気をつけることだろう。そして、慢心に対する対策に関しては、批判者の声や反対派の意見に謙虚に耳を届けることだろう。自らの幸運に対して、支援してくださる方に感謝し、その努力に報いることだ。
 過去は、これを忘れて慢心をしてしまった。いま思い出しても冷汗が出てくる。恥ずかしいことだ。

 さて、本日は、院生がプロジェクト研究の最終コーナーにさしかっている。論文の提出期限は、2月3日。
 最後の直線で、三人がどのくらい踏ん張って、いい成果を出してくれるか。小林くん(Shared Brewery)、大塚くん(デジタルサイネージ・コマース)、田澤くん(物流奨学金制度の創設)、ゴールまであと一週間。