ロック・フィールドの中野参与と、1週間の予定で、サンフランシスコとロサンゼルスをインタビュー旅行している。本日、10月1日の昼過ぎに、サンフランシスコに到着した。日本との時差は16時間。予想に反して、入国審査に約1時間を要した。通訳の野口さんによると、通常は2時間近くかかるらしい。今日は空いていたとのこと。
サンフランシスコ空港から、市内のフリーウェイを経由してベイブリッジを渡った。1989年のサンフランシスコ大地震以来、この橋を渡っていない。ブリッジは上下の二層だったのが、部分的に作りかえられて、今は一層で相互通行になっている。20年前までは、空港でレンタカーを借りて自分でも運転していた。今から思うと、そんな生活がとても信じられない。
橋を渡って、オークランドの街に入った。考えてみたら、最後にバークレイの町に来たのが2000年ごろだ。雑誌の取材で、サンフランシスコのピアにRF1の店を開いた時だ。2005年にサンフランシスコに来ているが、カリフォルニア大学のキャンパスには20年以上、足を踏み入れていない。だから、街の風景が変わってしまっていて当然なのだった。
野口さんによると、「特にこの10年間の変化は激しい」という。サンフランシスコの人口が88万人を超え、地価が高騰してしまった。ホームレスが増えて、昔の危険な場所が特定エリアだけではなく、あちこちに広がっている。安心できる立派なホテルのレートが倍に上がっているのは、生活費上昇の結果らしい。
今日から、シャタックホテルに3泊する。チェックインしてから、中野さんと野口さんと3人でシャタックの通りをふらりと歩いてみた。街の風景を見ても、かつての記憶が全く蘇らない。およそ20年間のブランクで、全てが変わってしまったように感じる。
中野さんの印象は、「良きアメリカの香りが残っている街」である。しかし、2年間ここに住んでいたわたしの目には、のどかな学生街の雰囲気は感じられない。象徴的なのは、BART(湾岸交通システム)が新しくなっていたことだ。空港まで延伸して、遠くの町まで駅ができていた。明後日、中野さんとピアにあるデリカRF1まで、BARTに乗って行ってみるつもりでいる。
空港からバークレイ市内までは、野口さんがウーバーを呼んでくれた。スマホで簡単に予約できて、料金も安かった。サンフランシスコ市内の様子はわからないが、空港にはタクシーは見当たらなかった。わたしが知っている、世の中の仕組みが変わってしまっている。
ウーバーのドライバーも当初は稼げたらしいが、いまは専業では厳しいとのこと。アルバイトでやる人も多いから、社会保障などカバーできていない。職業選択としては、パート労働者と変わらず、タクシーの運転手とは大差ないのだろう。
日本のコンビニオーナーの立場と比較して考えてみた。専業の場合は、似たようなところがある。システムを提供してもらい、フリーランスで働く。ウーバーは、25パーセントをシステム使用にチャージする。乗る方は便利だが、運転手も過剰供給で競争が激しいから、大して儲かりはしないだろう。
この旅は、一言でいえば、「飽食の旅」になるはずだ。ツアー初日のディナーは、バークレー市にあるメキシカン料理の店、COMAL(トルティーヤを焼く厨房機器に店名は由来)。
私たち3人にシェパニーズのマネージャー、ジェニファーさんが参加してくれた。というか、予約ができないはずの繁盛店を、無理やり予約できたのは、シェパニーズのオーナー、アリス・ウオータースと彼女のおかげだ。
ここは、オープンキッチン併設のオーセンティックなメキシカン料理の店。目の前でお肉やトルティーヤを焼いて見せてくれる。超人気店で、席数は聞き忘れたが、200〜250席はあるだろう。従業員も30〜40人ほど働いている。この店は比較的新しいはず。記憶にないし、名前を聞いたこともなかった。
ジェニファーのセレクトで、トルティーヤで各種の具材を挟んだタコスを食した。アボカド、牛肉、レンコンの一種などを挟む。三種類のサルサソースをタコスに加えて食べるのは、典型的なメキシカン料理らしい。今まで食べたメキシカンで、最高に美味しかった。
また来てみたいと思うが、予約ができないから並ばないといけない。ただし、キャパが大きいから、見たところはじっと並んで待っていれば、誰でも入れそうだった。予約は要らないだろう。
実は、フレッシュネスバーガーでおなじみのサルサソース以外、わたしはタコスは苦手な方だった。しかし、この店の本物の料理を堪能してしまうと、手軽だがやや安っぽいイメージのあるメキシコ料理に対する評価が劇的に変わってしまう。こんな上品で、かつまた実質的なメキシカンは初めてだ。イメージの激変に驚く。
最後は、メスカル(メキシコ特産蒸留酒の総称)の三種盛りで、四人が回し飲みしながら利き酒を楽しむことになった。こんなワイルドな外食は久しぶりだ。二人の女子たちは、アルコールが強い!というわけで、ビールがチェイサーになってしまった。メスカルは、是非とも日本に、持って帰りたい。
知らなかったのは、テキーラがメスカルの一種類らしいこと。メスカルは、リュウゼツランを砕いて蒸留して加工したものだ。燻製にしたメスカルはグラッパの味がした。メルカルと検索すると、COMALが出てくる。ついでに、グラッパの画像も表示される。同じ系統の蒸留酒なのだろう。
明日の朝は、といっても、時差ボケで目覚めて今は朝の3時半。このブログを書いたら、短く眠って、朝方はバークレイ校のキャンパスを軽く走ってみたい。昼まではフリータイムだ。
そういえば、町歩きのついでに、Peetsのコーヒー店に寄ってみた。相変わらず、strongのコーヒーを提供している。Sサイズを頼んだはずが、日本標準でLの大きさ。このカップは持て余してしまう。案の定、飲み残してしまった。
ところで、シャタックホテルの宿泊レートだが、シングルが1泊350ドル。約4万円とのこと。宿泊費用を聞いて、びっくりした。クレアモントホテルでも、家族五人で300ドル程度だったように記憶している。
ホテルの値段の高さに比べると、メキシカン料理店COMALのリーズナブルさが際立っていた。四人で、飲んで食べて、約260ドル。これには、20%のサービスチャージが含まれている。