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(その29)「鉄ちゃん、鉄子さん:観光産業の振興策」『北羽新報』(2018年12月26日号)
 鉄道マニアのわたしは、自宅のすぐ近くに踏切がありました。そこまで歩いて、飽かず蒸気機関車を眺めているのが好きでした。子供にも「鉄の血」が遺伝しました。常磐西線など蒸気機関車の貴婦人号に乗せているうち、次男の真継は鉄ちゃんになりました。いまは東海道新幹線で運転士をしています。連載29回目は、鉄ちゃん・鉄子さんの話にしてみました。
  
「鉄ちゃん、鉄子さん:観光産業の振興策」『北羽新報』2018年12月26日号
 文・小川孔輔(法政大学経営大学院・教授)
  
 いつのころからか世間では、熱心な鉄道ファンことを、「鉄ちゃん」とか「鉄子さん」と呼ぶようになりました。ネットで見つけた「シャツのほころび涙のかけら」というブログ記事によると、「鉄道マニア」は昭和30年代までの一般的な呼称で、「鉄ちゃん」は昭和40年代から広く用いられるようになった愛称とのことです。女子の鉄道ファンは、鉄道の「道」をとって、「道ちゃん」と呼ばれていた時代もあったようです。現在では、「鉄子さん」という呼び名が定着しています。
 子供のころから「鉄ちゃん」だったわたしは、「乗り鉄」と呼ばれるグループに属しています。東京から地方に出張する時は、いまでも飛行機の切符を買うより、優先的に新幹線に乗るようにしています。中国・四国方面に旅行するときなどは、前日の夕方まで仕事が入っているときなどはとくにそうですが、わざわざ東京駅午後10時発の「サンライズ出雲(瀬戸)」の座席指定券を予約します。
  
 サンライズの良いところは、これはマニアでないとわからない感覚かもしれませんが、電車が切り離される場面を体感できるからです。夜が白々と明けてくるころ、途中の岡山駅で、特急寝台列車の「サンライズ号」は行先別に切り離されます。先から半分の「サンライズ瀬戸号」は、瀬戸内海を渡って終着駅が高松になります。後ろ半分の「サンライズ出雲号」は、中国山地を超えて出雲駅行きになります。 
 「シャツのほころび・・・」の筆者によると、鉄ちゃんは4つに分類されているようです。
 「乗り鉄」…列車に乗ることが趣味の人、 「撮り鉄」…列車の撮影が趣味の人、 「録り鉄」…走行音・発車メロディ等の録音、走行中の録画が趣味の人、 「葬式鉄」…廃止直前の路線や廃車間近の車両が趣味の人、など。
 「乗り鉄」かつ「撮り鉄」のように、複数のカテゴリーをまたがる「鉄ちゃん」もいます。ただし、わたしは純粋な「乗り鉄」だけに徹しています。
 
 この話を紹介したのは、今年の夏に同期会に出席するため帰郷した際、市民ホールで、「青春機関車展」という展示に遭遇したことを思い出したからでした。市民ホールで開催されていたのは、昭和47年まで五能線を走っていた蒸気機関車86(はちろく)の写真展でした。
 当時の高校生とってカラー写真はぜいたく品でしたから、すべて白黒で蒸気機関車を撮影したものでした。その中に一名の「鉄子さん」を含む「撮り鉄」たちは、能代高校の3〜4学年下の写真部員たちでした。会場のホールには、彼らが40年前に撮影した写真をパネルにして展示してあったのです。
 写真展を見学していたら、86を撮影した本人たちの何人かに声をかけられました。「しんすけの兄さんでないですか?」。本紙(北羽新報)に毎月コラムを寄稿しているからだろうと思われます。こちらはカラーの顔写真付きですので、顔バレがしているらしいのです。
 
 「乗り鉄」のわたしは、86の写真展を見たその日に、始発の青森駅からリゾートしらかみ2号(くまげら)に乗って能代駅に到着していました。12時15分に能代駅の3番線ホームに着いたわけですが、一番線のホームを離れたばかりのリゾートしらかみ3号(青池)とすれ違いました。
 鉄ちゃんにとって、五能線は絶対に訪れなければならない「聖地」のようなものです。わたしのような「乗り鉄」が、日本に何万人くらいいるものなのか。鉄ちゃんと鉄子さんの数まで、調査で詳しく調べたわけではありません。もしかすると五能線をテーマにした映画を企画したり、蒸気機関車のイベントを開催するだけでも、能代を訪問する観光客が新しく増えるかもしれません。
 「バスケの町」に続いて五能線をもっとアピールすることは、能代市の観光産業振興の手段としてあるかもしれません。なお、乗り鉄としては、何十年かぶりで蒸気機関車86を走らせてみたいなとも思います。これは、ちょっとした夢物語かもしれませんが。
| Kosuke Ogawa | 11:10 | - | - | pookmark |

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