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八百屋の復活、米屋の躍進、有線放送会社の農業参入
 今日は、机の上に積みあがった雑誌を読む日。午前中に5誌を片付けた。『日経ビジネス』『ダイヤモンド・チェーストア』『BusinessWeek』『ニューズウィーク日本語版』『農耕と園芸』など。『日経新聞』や『日経MJ』も毎日入荷してくるので、油断していると”書籍の山”ができる。

 

 こういう日には、特定テーマの共通記事に目がいくことが多い。本日の「特集テーマ」は、野菜専門店(八百屋)と卸業(統合型農産卸)の復活の話題だった。このテーマには、食品ロスと小売業の業態変化が関連している。背景にあるのは、総合型小売業と量産型フードビジネスの行き詰まりと思われる。

 

 最初に目についたのは、『ダイヤモンド・チェーンストア』(2018年2月15日号)に登場している広島県福山市の食品スーパー・エブリイ。エブリイの岡崎浩樹副社長には、法政大学の「アグリフードビジネス・セミナー」で講演していただいた(講演録は、いずれ本ブログにアップ)。

 農業分野にも進出している同社の特徴は、/品スーパーとレストラン業態を並行して抱えていること、∋挫歪樵の仕入れシステム(農産品全般)の確立によって、仕入れコストが低く抑えられていること。同時に、直送で高鮮度の商品を店頭に、迅速に並べられること。

 この仕入れシステムは、産地農家グループからの規格外品を含む、「畑まるごとの全品一括の買い付け」によって食品ロスを削減しているのである。それが、農家や漁業者からみると、高い手取り価格に反映している。産地と加工段階を統合した仕組みは、ローソンファームなどにもみられる。

 

 二番目に目に付いたのは、『日経ビジネス』(2018年2月12日号)に掲載されていた米卸の「神明 ”食のユニクロ”を目指す」という記事。こちらは、コメだけに限らず、農産品の集中仕入れと前方統合によって、川下(回転すしなどのファストフード)と川上(米栽培農家)の系列化を図ろうとする試みだった。

 この紹介記事には、ユニクロのビジネスモデル(製販統合)が引用されていた。種子や栽培方法のような技術をもつ、差別化された供給者の力が大きくなってきたことの証だろう。量産型の調達モデルでは、効率は追求できるが、差別化ができない。低コスト一辺倒では収益的に限界が来ている表れと、わたしは見ている。

 神明のような会社(カテゴリー特化して一強の卸)は、いまのところ負債比率が高い。持続的に成長できるかには、一部の論者は疑問を持っているようだ。わたしは、この戦略は「吉」と出ると予測する。

 

 三番目は、同じ号の『日経ビジネス』に紹介されていた八百屋さんの「アグリゲート」。売り上げはまだ4億円だが、仕入れの仕方がふつうの八百屋とは違っている。市場からの買い付けもあるが、産直の比率が高い。そして、エブリイで紹介したように、「規格品」を正規品と一緒に仕入れる「マージンミックス」を活用している。

 農家側からしてみると、アグリゲートもエブリイも、約30%は出てしまう規格外品を正規品の半分くらいの値段で仕入れてくれるい。そうすれば、正規品は2割程度安く販売しても採算がとれる計算になる。わたしが一括引き取りの「調達マージンミックスモデル」は、もっと一般化しそうな気配がある。食品ロスにも貢献できるから、社会的にも有意義だ。

 なお、アグリゲートは、「旬八キッチン」というブランド名で、川下の弁当・惣菜店にも乗り出している。狙いは、エブリイと同様な複数販路を持つことで、素材の加工効率を高めことだ。

 

 最後は、有線放送配信の「USEN」が、農産品卸に参入したという話題。福島の花農家、菅家博昭さんから『農耕と園芸』(2018年3月号)のPDFをコピーして送っていただいた。

 USENが「リーチストック」という子会社を作って、有線放送を楽しんでいる農家から農産物を直接仕入れて、レストランなどに卸す事業モデル。「ぐるなび」などがやりそうなものだが、あちらはいまいち上手にいっているようには見えない。その分野に、門外漢のUSENが取り組むというのが面白い。

 このモデルが収益力のある事業として成り立つかどうかは、わたしにはわからない。ただし、多品種少量の農家側で物流が難しくなっていることが、同社の事業拡大にはプラスに働きそうではある。事業のその先を見守りたい。

 

 本日の3つの事例に共通しているテーマは、JA以外が仕掛ける「産地の系列化」とみている。食の分野に垂直統合の波が押し寄せている。日本農業の産業化がキーになる。自給率の向上と輸出産業の育成。タネの保全。

| Kosuke Ogawa | 16:44 | - | - | pookmark |

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